「ぎっくり腰になりそう」で来院される患者さんの実態

当院には「ぎっくり腰になりそうな時に早めに来ました」という患者さんが一定数いらっしゃいます。その中でも、既に私がお体を確認すると「ぎっくり腰の状態になっている」方が非常に多いです。
ぎっくり腰がどのような症状なのか理解しないと、「ぎっくり腰になりそう」と考えていても、すでにぎっくり腰になっている場合もあるので、その際はぎっくり腰と同じような対応が必要なので注意してください。
ぎっくり腰とは?急性腰痛の正体

まず、ぎっくり腰は急性腰痛と呼ばれ、一般的には筋膜などの組織を痛めた状態と考えられています。
あなたは本当にぎっくり腰になっている?見分け方についてお伝えします
もしかしたら、あなたはまだぎっくり腰になっていないかもしれません。腰が重くなって「ぎっくり腰になりそうだな」と感じているだけかもしれません。一時的に腰が重いという人は、まだぎっくり腰ではないと思います。
なぜなら、ぎっくり腰は前述のとおり、怪我に近い状態なので、痛みが取れたり、ストレッチをして楽になるというのは考えづらいです。
「一時的に腰が痛いが楽になった!」という方も実際にいらっしゃいます。
そのような人は、実はぎっくり腰ではなかった!ということで、腰にストレスは与えていた事実ですが、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。
既に軽いぎっくり腰かな?という方は、1週間から2週間は痛みと付き合う必要があります。
ぎっくり腰になっていたら、自己流マッサージやストレッチは危険

ぎっくり腰になりそう、もしくはぎっくり腰になっていた方は、後悔しないように必ず注意した方がいいことがあります。
それは、以前腰痛がストレッチでよくなったから、ネットで調べて自己流ストレッチをやって悪化させることです。
慢性化した腰痛は簡単なストレッチでも楽になることもあります。
対するぎっくり腰など急性腰痛は、既に腰を痛めており、筋肉を刺激するべきではありません。
特に患部は揉んだり、ストレッチをすると、痛めていた腰の状態がより悪化していく可能性があります。
正しい対処法:固定が大切

ぎっくり腰になっていた場合には、固定が楽だと思います。お勧めはコルセットやキネシオテープの固定です。
ぎっくり腰の時は、主に前屈した時に腰が痛い方が多いです。
もちろん、後ろに反った時に痛いタイプの人もいますし、左右にひねったり横に側屈しても痛い場合もあります。
ただし、特に多いのが前屈の時に激痛で腰が曲げられないような激しい痛みの方が多いです。
その時には、縦にキネシオテープを引っ張って貼ると楽になるケースが多いです。
前屈して痛い場合は、特に前屈が行かないようにテープを引っ張ることで皮膚にたるみができ、制限をかけた方が腰の負担が大幅に減ると思います。
重い症状のぎっくり腰の時は、これだけでも足りない場合があります。
その際は、キネシオテープをばってん(×印)に何重にも360度、どの方向にも動かないように貼ると腰の強力なサポートになります。
コルセットや骨盤ベルトを巻くのも、この時は楽になると思います。
ぎっくり腰でない時も常用化してしまうと、腰の過剰なサポートになってしまい、筋肉の意識の低下にもつながりますので、くれぐれもぎっくり腰の時に限っては積極的に活用していただければと思います。
ぎっくり腰の予防は日々できる

ぎっくり腰はなってしまったら、しばらく痛みが続きます。ぎっくり腰をやってしまった方は「気をつけます」と言って、また1年後にやってしまう、そのような方が多いような気がします。
つまり、ぎっくり腰は気づいた時に「あ、やっちゃった」と言ったケースが多々あるので、極論、予防するしかありません。
ではどのような意識を持つことが大切なのかということをお伝えします。
多くの方が、ぎっくり腰にしないように動作を気をつけると思います。
しかし、朝、顔を洗おうとしたらぎっくりやってしまったり、もっと言うと寝返りを打ってぎっくり腰に見舞われ、朝起きられないという事例を考えると、動きを気をつけるだけでは間に合わないということが明らかです。
私が日々お伝えしたいのは、太もも裏のハムストリングスを常に可動域を正常に保つということです。
動きを良くすることで腰の方にも余裕ができるので、一つ一つの動作にそこまで気を配らなくても痛めることが極めて少なくなると思います。
ぎっくり腰を繰り返すと経済的損失が大きくなる理由

ぎっくり腰は、繰り返すと以下のような複数の要因が重なるためです。
直接的な医療費としてレントゲンやMRIの検査費用、痛み止め、湿布、筋弛緩剤などの薬剤費があります。また整体や接骨院、鍼灸などの施術代も同様にかかります。
実はそれ以上に大きいのが労働損失です。欠勤による収入減は数日から1週間程度必要となります。痛みを抱えながら働くことで業務の効率が大幅に低下し、職場での人員の調整などによるコストも発生します。
将来的なキャリアにも影響する可能性もあります。
12ヶ月以内に69%が何らかの腰痛エピソードを経験し、40%が活動制限を伴う腰痛、41%が医療機関を受診する腰痛を経験したと報告されています。 出典:ScienceDirect(da Silva et al., 2019, Journal of Physiotherapy)。
ぎっくり腰から慢性化リスクによる長期コスト

ぎっくり腰を繰り返すと、さらに経済的な負担も長期的にかかるようになります。それは腰痛が慢性化してしまう可能性が高くなるということです。長期的に医療費やマッサージ、予防のためのフィットネス施設の費用が継続的に発生し、腰の負担を減らすための費用がかかります。
また、腰痛を腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに悪化させてしまった時に手術をされる方も一定数いらっしゃいます。脊椎の手術は1回で終わることも少なく、複数回手術をされる方も多いと聞きます。
その際に2回目以降の手術は長期入院が余儀なくされ、就労能力の恒久的な低下につながる可能性もあります。
仕事を継続できなくなると大幅に経済的な損失が予想されるので、早めに腰痛体質を断ち切ることが経済的な損失のリスクヘッジにつながると感じています。
ぎっくり腰の予防投資が将来の経済合理性を高めてくれる

適切な運動療法や専門的な身体のケアには初期投資がかかります。しかし重症化による損失と比較すればこれは圧倒的に安価です。
例えば、月数万円の予防的ケアと運動指導で、将来の年間数十万円の損失と数週間の労働時間損失を防げるなら、明らかに経済的メリットがあります。
実際に私のところに通われているリピータの方々には、腰の痛みがなくても予防の為に、今から体の投資として通われています。
医療費の損失を抑えるだけでなく、生活の質の低下による間接的コストも抑えることが可能です。
例えば、腰が痛くなると趣味やレジャー活動の制限されます。通常だと徒歩圏内も、移動手段の変更(タクシー利用の増加など)で移動コストも重なってきます。
腰が痛いと家事や育児の外部委託として食事関連宅配弁当・惣菜に頼ることや大掃除や水回りの専門清掃もハウスクリーニングなど事業社に依頼も増えることでしょう。
「もっと早く予防していれば・・・」と後悔や諦めている方も多いように感じています。
まとめ:今日から始めるぎっくり腰予防で、未来の健康と経済を守る

ぎっくり腰は「なってしまってから後悔する」典型的な症状です。しかし、正しい知識と予防習慣を身につければ、そのリスクを大幅に減らすことができます。
研究データが示す通り、12ヶ月以内に69%の方が何らかの腰痛を再経験します。つまり、一度ぎっくり腰になった方の多くが、また同じ痛みに苦しむ可能性が高いということです。この事実は決して脅しではなく、「予防こそが最良のケア」であることを科学的に裏付けています。
予防がもたらす具体的なメリットをまとめます。
予防への投資は、将来の大きな損失を防ぐ賢明な選択です。月数万円の予防的ケアや運動指導で、年間数十万円の医療費と数週間分の労働時間損失を防げるなら、経済的合理性は明らかです。
さらに重要なのは、お金では測れない価値です。
痛みのない日常は、趣味を存分に楽しみ、家族との時間を大切にし、仕事で最高のパフォーマンスを発揮できる土台となります。朝起きた瞬間から「今日も腰が痛いかも・・・」という不安なく、自信を持って一日をスタートできる。これこそが予防の最大のメリットではないでしょうか?
予防は難しくない!ハムストリングスケアから始めましょう。
予防と聞くと「大変そう」と感じる方もいるかもしれません。しかし、太もも裏のハムストリングスの柔軟性を保つという、シンプルな習慣から始められます。この部位の可動域を正常に保つことで、腰への負担が軽減され、朝の洗顔や寝返りといった何気ない動作でのぎっくり腰リスクが極めて少なくなります。
痛みのない未来への希望が持てます。
40〜50代でぎっくり腰を予防できれば、60代以降も活動的な生活を送れる可能性が格段に高まります。将来の介護リスクを減らし、生涯現役で自分らしい人生を歩み続けることができるのです。
「もっと早く予防していれば」という後悔ではなく、「今日から始めてよかった」という満足感を得られるチャンスは、今この瞬間にあります。既に当院に通われている多くの方々は、痛みがなくても予防のために体への投資を続けています。その選択が、充実した毎日と将来の安心につながっています。
ぎっくり腰になりそうな違和感を感じた時、それは体からの大切なサインです。そのサインを見逃さず、早めの対処と継続的な予防習慣で、腰痛に悩まされない人生を手に入れましょう。あなたの未来の健康は、今日のあなたの選択で変えられます。

ぎっくり腰理解度テスト
ぎっくり腰(急性腰痛)に関する正しい知識をチェックしてみましょう。6問のテストであなたの理解度を測定します。
ぎっくり腰(急性腰痛)の正しい説明はどれ?
ぎっくり腰になってしまった時、やってはいけないことは?
ぎっくり腰で最も多い痛みのパターンは?
ぎっくり腰の予防で最も重要なのは?
ぎっくり腰の再発率について正しいのは?
ぎっくり腰の予防投資が重要な理由は?
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