ぎっくり腰とヘルニアの違い!専門家が解説する鑑別診断のポイント

ぎっくり腰とヘルニアの違い!専門家が解説する鑑別診断のポイント

急性腰痛症と腰椎椎間板ヘルニア:症状・期間・施術方法の違いを徹底解説

ぎっくり腰と腰椎椎間板ヘルニアの鑑別について、専門的な観点から整理いたします。
まず急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)は、1~2週間程度で軽快する筋膜性疼痛症候群です。筋膜の損傷により、軽度なものから起床困難なほどの激痛まで幅広い症状を呈しますが、時間経過とともに自然軽快する傾向があります。

一方、腰椎椎間板ヘルニアは筋骨格系の問題ではなく、椎間板の変性により髄核が線維輪を破綻して脱出し、神経根を圧迫することで生じる神経症状です。

同様に腰部の激痛を呈するものの、急性腰痛症が1~2週間という比較的短期間で改善するのに対し、椎間板ヘルニアは数か月から半年程度の長期間を要することが一般的です。

このように罹病期間である程度の鑑別は可能ですが、実際の臨床現場では、両疾患とも精密検査を実施しなければ確定診断は困難です。
精密診断にはMRI検査が必要となります。

急性腰痛症では多くの場合、単純X線撮影による除外診断が行われ「急性腰痛症疑い」という診断にとどまることが多く、椎間板ヘルニアにおいても下肢痛や知覚異常があれば「椎間板ヘルニアの可能性」と診断されても、確定診断にはMRI所見が不可欠です。そのため、多くの患者において原因が明確化されないまま、時間経過とともに症状が改善しているケースが少なくありません。

鑑別のポイントとして、罹病期間に加えて、疼痛が腰部に限局しているか、あるいは臀部・下肢への放散痛や知覚異常を伴うかという点が重要な判断材料となります。​​​​​​​​​​​​​​​​

痛みの期間(短期vs長期)と症状の範囲(腰部限局vs下肢放散)が鑑別の重要なポイントとなります。

ぎっくり腰と腰椎椎間板ヘルニアは違うメカニズムだが関連性は深い

ぎっくり腰と腰椎椎間板ヘルニアは痛みの期間と部位が大きく異なります。

ぎっくり腰は急性腰痛症とも呼ばれ、筋膜の損傷による炎症が原因です。痛みは腰部に限局し、激痛でも1〜2週間程度で自然回復します。突然の動作で発症し、腰を動かすと鋭い痛みが走りますが、下肢への放散はありません。

一方、腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の髄核が脱出し神経根を圧迫する疾患です。腰痛に加えて臀部から太もも、ふくらはぎ、足先まで痛みやしびれが放散します。

回復には数ヶ月から半年の長期間を要し、慢性化することも少なくありません。

両方とも、共通した予防と再発防止

両疾患ともメカニズムが異なるものの、共通した予防方法は類似しています。特にぎっくり腰でも椎間板ヘルニアでも前屈動作時に損傷することが多いことから、腰部の過度な屈曲には十分な注意が必要です。ただし注意するだけでは不十分であり、腰部および下肢の柔軟性向上こそが再発予防の要となります。

意識だけに頼っていると、不意な動作の際に姿勢が崩れ、急性腰痛症(ぎっくり腰)を発症してしまいます。このような急性症状を繰り返すうちに、徐々に椎間板内部にも損傷が及び、腰椎椎間板ヘルニアへと進行する可能性があります。

このような病態進行を考慮すると、予防策として急性腰痛症を起こさないことが、腰椎椎間板ヘルニアの予防と再発防止の基本となります。
重量物を持ち上げる際には、足幅を広げ、スクワット様の姿勢を自然に取られていることと思います。タンス等の重量物を持ち上げる際には、しっかりと腰部を落とし、下肢筋力を活用して持ち上げているはずです。しかし、軽量物を持ち上げる際には油断し、腰椎屈曲位での動作を行っていませんでしょうか。

重量物を持ち上げる際と同様の身体使用法を、軽微な動作においても一貫して実践することが、急性腰痛症の予防につながります。

スポーツ選手の腰椎椎間板ヘルニアとは異なり、不意に発症する急性腰痛症を経験されている方々は、繰り返される不適切な動作パターンが発症リスクの増大に直結していることを理解する必要があります。​​​​​​​​​​​​​​​​

診断と治療の違い
ぎっくり腰の診断は主に臨床症状に基づいて行われ、画像検査では明らかな異常を認めないことが多いです。治療は安静、消炎鎮痛剤、理学療法が中心となります。
椎間板ヘルニアの確定診断には、MRIによる画像診断が必要不可欠です。治療は保存療法が基本ですが、神経症状が重篤な場合や保存療法で改善しない場合には、外科的治療が検討されます。

民間整体院は全身アプローチ

再発予防 柔軟性の向上

整形外科での標準的対応
ぎっくり腰(急性腰痛症)の場合、整形外科では、まず画像検査(X線撮影等)が実施されます。明らかな器質的原因が特定されない場合、安静指導、消炎鎮痛剤(NSAIDs)の処方、理学療法が主な治療となります。

椎間板ヘルニアの場合、さらに痛みや痺れが出ている場合は、MRIの画像診断が不可欠ですが、治療方法としては保存療法が基本となります。薬物療法、理学療法、神経ブロック注射などが実施され、保存療法無効例や重篤な神経症状を呈する場合には手術療法が検討されます。

民間整体院でのアプローチ
これに対して、当整体院では、ぎっくり腰でも椎間板ヘルニアでも腰以外の部位も多く調整します。病院で行われていない対応として、腰以外への包括的なアプローチがありますが、これは現実的に医療機関では時間的制約があるため困難と考えられます。

当院では60分程度の民間療法での十分な施術時間により、整体手技・リハビリテーション・身体の使い方指導などトータル的な対応を行うことで、腰の痛みや足の痛みを軽減させることを目的としております。

具体的には、腰部のみならず骨盤、股関節、胸椎部等の関連部位の調整、個別化された運動療法、日常生活動作や姿勢の改善指導を組み合わせることで、根本的な機能回復と再発予防を目指しています。

整形外科は医学的診断と急性期管理において不可欠な役割を担い、民間整体院では時間的余裕を活かした個別性の高い包括的ケアを提供することで、両者は相補的な関係にあり、患者様の最良の治療成果に貢献できると考えております。

重症度における根本的な差異

ぎっくり腰と椎間板ヘルニアを比較する際、最も重要な違いは重症度の本質的な差異にあります。ぎっくり腰は「魔女の一撃」と呼ばれるほど激烈な痛みを伴いますが、実際の組織損傷は筋膜レベルの表層的なものにとどまります。一方、椎間板ヘルニアは椎間板の構造そのものが破綻する、より深刻な器質的変化を伴う疾患です。

この組織損傷の深さの違いが、症状の現れ方に決定的な影響を与えています。ぎっくり腰では痛みは強烈であっても腰部に限局し、神経症状は通常認められません。しかし椎間板ヘルニアでは、飛び出した髄核が神経根を直接圧迫することで、腰痛に加えて下肢への放散痛、痺れ、筋力低下といった神経学的症状が現れます。

治療の緊急性においても両者は大きく異なります。ぎっくり腰は激痛により日常生活に支障をきたしますが、適切な初期対応により多くの場合自然軽快し、永続的な後遺症を残すことは稀です。対照的に椎間板ヘルニアでは、特に馬尾症候群と呼ばれる重篤な状態(膀胱直腸障害や会陰部の感覚障害)が現れた場合、48時間以内の緊急手術が必要となることもあります。

予後の観点からも重症度の差は明らかです。ぎっくり腰は通常1〜2週間で症状が軽快し、適切な予防策により再発リスクを軽減できます。一方、椎間板ヘルニアは症状が数週間から数ヶ月にわたって持続する可能性があり、重症例では手術を行っても神経学的な後遺症が残存する場合があります。

このような重症度の違いを理解することで、患者様は症状に応じた適切な医療機関の選択と、治療に対する現実的な期待を持つことができるのです。

ぎっくり腰でもヘルニアでも柔軟性が回復できれば楽になります

多くの方がぎっくり腰や腰痛、椎間板ヘルニアで激痛を経験すると、「二度とあの痛みは味わいたくない」と思われることでしょう。しかしながら、根本的な改善方法を知らないことから、再発や痛みが頻発し、徐々に対応が困難になっているのではないでしょうか?

そのような方に最も重要な「柔軟性」についてお伝えしたいと思います。よく腰が痛いと「腹筋・背筋をやりなさい」と聞いたことがあると思います。しかし、これは実際に実践している人の話なのか、私は懐疑的です。なぜなら、周りで筋力トレーニングをやってお腹に筋肉をつけたら腰痛が治りましたという話を聞いたことがあるでしょうか?

逆に、屈んだだけで腰を痛めたりしている方にとっては、腹筋運動をやることで前屈動作をして、腹筋中にぎっくり腰になっている方がたびたびいらっしゃいます。
私のところでおすすめしているのは、下半身の柔軟性を高めることです。前屈が楽になると、いつの間にかぎっくり腰の癖を感じなくなったり、腰椎椎間板ヘルニアの再発が予防できているという方が非常に多いのです。

もしこの記事を読まれている方で、周りに優れた治療家の先生がいない方は、ご自分でも痛みがない範囲で下半身の柔軟性を高めるストレッチングを行ってみてください。今まで様々な方法を試した中で効果がなかった方も、無理なく、いつの間にかぎっくり腰の癖や腰椎椎間板ヘルニアの予防・改善ができてくる可能性があります。

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