なぜ肩を揉んでも効果が続かないのか?

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大
川崎市登戸・向ヶ丘遊園の「ねもと整体&ストレッチスタジオ」院長 根本大。20年の臨床経験を持つ関節ニュートラル整体の施術者。健康運動指導士・米国ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。整体技術と運動指導の両面からのサポートしており、長年の経験をお伝えしています。

肩こりを改善したい方の多くは「肩をほぐせばいい」と考えています。
しかし、実際に肩こりがひどい方ほど「肩を揉んでもすぐ戻る」「マッサージに行っても効果が続かない」という経験をされているのではないでしょうか?
肩こりという一見シンプルに見える症状でも、実は構造的な問題が複雑に絡み合っており、セルフケアだけでは対応が難しいという現実があります。
今回の記事では、他の記事とは異なる肩こりアプローチをお伝えします。
それは、「肩こりの原因は筋肉が固くなる『前』に、関節の動きが悪くなっている」という新たな視点です。
当院で20年間、4万人以上の患者さんを診てきた経験から導き出した、筋肉をほぐす前に「関節の動き」を調整する方法を知っていただくと、今までにない効果をあげれる可能性があります。
通常の肩こりセルフケアとは全く違う!関節アプローチとは?
僧帽筋付近にある第一肋骨

肩こりがひどい方は、自分の肩をゴリゴリほぐせば楽になるような思い込みをされている方が多いと思います。
しかし現実的には、強く揉んだからといってそのコリが解消できるというわけではありません。
実は、鎖骨の上あたりを押すと「第一肋骨」という骨があります。
この第一肋骨は頚椎の動きに関係しており、そこにわずかな遊びをつけると首を回すのが楽になります。
画像で見てみると押しているように見えると思いますが、それは筋肉を押しているのではなく、鎖骨の上の第一肋骨をわずかに動かすことで、表面の軟部組織である肩の筋肉も楽になります。
首が楽になる!第一肋骨の位置
首が楽になる!第一肋骨の位置

第一肋骨は鎖骨の真上に位置しており、指で触診できる場所にあります。第7頚椎と第1胸椎、第1肋骨が動きが悪いと第7頚椎が動きすぎて肩こりや首の痛みにつながります。
触り方としては鎖骨窩(鎖骨の上のくぼみ)から指を滑らせると触知できます。簡単にお伝えするとこのくぼみを押しているだけで第一肋骨が調整できます。
強く押すまではなく弱い刺激でも長く押せば第一肋骨の調整ができ、首の痛みが楽になることもあります。
首の調整を自分で行うことはリスクもありおすすめしませんが、第一肋骨の調整はその点安全に調整できて、首の頚椎の過剰な動きに対応できるセルフケアです。
新しいセルフケア方法

第1肋骨のモビライゼーション(関節調整)は理学療法士・オステオパシーでも認められています。
斜角筋のリリースと合わせて第1肋骨の調整を行う。
世間で知られているセルフケアの筋膜リリースなどは主に表面の軟部組織のケアになりますが、症状が強い方はやはりそれだけでは対応が難しいはずです。
むしろ第1肋骨のケアを行い関節の動きを正常にしてから、斜角筋などの筋肉のアプローチも行っていった方が首の張りは楽になります。
揉むのでは押すことが基本

一般的なマッサージだと筋肉を揉むという概念だと思いますが、この第一肋骨の調整は関節なので揉むよりも押す感覚に近いと思います。関節はわずかな遊びがあり、それを回復させることが目的なので押す意識で行ってみてください。
鎖骨の上のくぼみに中指と人差し指を当て、そのまま下の方向にグーっと押します。そこからだんだん肩の方に向けて指をずらして、また押すということを繰り返していきます。
順番としては右側の第一肋骨をまず行い、左側もその後行います。
確認方法としては首の可動域を確認していただくと、セルフケア前よりも首が少しひねりやすくなっていれば十分効果があると思います。
すぐにできる第一肋骨のケア方法
右の第一肋骨のケア

右の鎖骨から第一肋骨の場所を探し、そこを5秒程度長押ししてください。指1本分ずらして外側に少しずつ3箇所程度押すことで、第一肋骨と第二肋骨の調整になります。
左の第一肋骨のケア

左も同様です。右手で左の鎖骨を探し、その少し斜め上にくぼみがありますのでそこを5秒程度押してください。
右の第一肋骨のケア 右腕を上げるパターン

上に紹介した第一肋骨を押すだけのケアに比べて、カウンターを使って効果を上げた方法です。
左手で第一肋骨にコンタクトした方向に押します。
右手はソフトボールを投げるように少し上に上げていきます。こうすることで第一肋骨が浮いてくるので、カウンターで調整されます。
左の第一肋骨のケア 左腕を上げるパターン

右手の指で左の鎖骨の上の第一肋骨に触れていきます。
上から押しながら、左手はソフトボールを投げるように少し上に上げていきます。
第一肋骨がかすかに上がってくるのを押し続けることで、第一肋骨の調整になります。
第一肋骨のケアで期待できる変化

第一肋骨の関節可動性を改善することで、肩こりはもちろん様々な身体の変化が期待できます。
まず頚部の動きに関しては、首の回旋動作がスムーズになる傾向があり、頚椎の過剰な動きが落ち着く可能性があります。特に第7頚椎の代償運動が軽減される場合があるため、首全体の動きのバランスが整いやすくなります。
肩周囲については、僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の緊張が和らぐ傾向が見られます。慢性的な肩の張り感が軽減される場合も多く、デスクワークなどで蓄積した疲労感が抜けやすくなる可能性があります。
神経血管系への影響も注目すべき点です。胸郭出口のスペースが確保される傾向があり、上肢への神経伝達がスムーズになる可能性があります。これにより、腕や手指の重だるさが和らぐ場合があり、斜角筋による神経血管束の圧迫が軽減される傾向も見られます。
呼吸機能においても変化が期待できます。胸郭上部の可動性が向上する傾向があるため、深い呼吸がしやすくなる可能性があります。また、副交感神経優位への切り替えがスムーズになる場合があり、リラックスした状態を作りやすくなります。
頭痛など、関連する不快感についても変化が見られることがあります。緊張型頭痛の頻度が減る傾向があり、目の奥の重さや後頭部の張り感が軽減される可能性もあります。
ただし、これらは第一肋骨の関節可動性が改善されることで期待される変化であり、効果には個人差があります。症状が強い場合や長期化している場合は、専門家による評価とケアをお勧めします。なお、これは身体の機能を整えるためのケアです。予防として行ってください。
よくある質問
Q1. どのくらいの強さで押せばいいですか?

A. 強く押す必要はありません。痛気持ちいいと感じる程度の優しい圧で十分です。
関節の「遊び」を回復させることが目的なので、強い刺激よりも持続的な軽い圧の方が効果的です。
目安としては、「少し圧を感じる程度」で、決して痛みを我慢するほど強く押さないでください。
Q2. 1回にどのくらいの時間行えばいいですか?

A. 片側につき5秒程度が目安です。鎖骨の上のくぼみから肩に向かって、数カ所を各5秒ずつ押していきます。
右側から始めて左側も同様に行い、合計1分程度のケアで十分です。
長時間やりすぎると逆にやりすぎることもあるため、適度な時間で行ってください。
Q3. 毎日やっても大丈夫ですか?

A. はい、毎日行っても問題ありません。むしろ習慣化することで、首や肩の状態を良好に保ちやすくなります。
デスクワークの合間や入浴後など、リラックスしているタイミングで行うのがおすすめです。
ただし、押した後に痛みや違和感が強く出る場合は、頻度を減らすか専門家にご相談ください。
Q4. ケアをした後に痛みやだるさが出ることはありますか?

A. 正しい方法でしたら問題はありません。
しかし何事もやりすぎは弊害があります。
これは関節の動きが変化したことで周囲の筋肉が反応している場合があります。
通常は数時間〜1日程度で落ち着きますが、強い痛みや腫れが出る場合は、圧が強すぎた可能性があります。
その際は様子を見て、第一肋骨のセルフケアを控えてください。
すぐに効果を感じられない場合はどうすればいいですか?

A. 第一肋骨のケアは即効性を感じる方もいれば、数日〜1週間程度継続することで変化を実感する方もいます。
効果を感じにくい場合は、押す位置が少しずれている可能性があります。鎖骨の上のくぼみを丁寧に探り、少し位置を変えながら試してみてください。
また、慢性的な肩こりや症状が強い場合は、セルフケアだけでは対応が難しいこともあるため、その際は専門家による評価とケアをお勧めします。
まとめ:関節から整える新しい肩こりケアを始めよう

肩こりの本質は、表面の筋肉だけでなく、その奥にある関節の動きにあります。第一肋骨という鎖骨の真上に位置する小さな骨の可動性が低下することで、頚椎が過剰に動き、僧帽筋や肩甲挙筋といった肩周囲の筋肉に負担がかかります。従来の「揉む」アプローチでは一時的な緩和しか得られなかったのは、この根本原因に届いていなかったためです。
第一肋骨のセルフケアは、鎖骨窩という誰でも触れられる場所から、優しく押すだけという安全でシンプルな方法です。1箇所5秒、左右合わせて1分程度で完了します。
毎日の習慣として取り入れることで、頚部の可動域改善、肩の緊張緩和、腕や手指のしびれ軽減、深い呼吸のしやすさ、緊張型頭痛の頻度減少など、多岐にわたる身体の好ましい変化が期待できます。
ただし、関節へのアプローチは適切な圧と位置が重要です。痛みを我慢するほど強く押したり、長時間続けたりせず、「痛気持ちいい」程度の刺激を心がけてください。
もし継続しても変化を感じにくい場合や、症状が強く長期化している場合は、専門家による詳細な評価と施術をお勧めします。関節という新たな視点から、肩こりのない快適な毎日を手に入れましょう。
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