腰痛を放置するとお尻が痛くなる怖さとは?

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大
川崎市登戸・向ヶ丘遊園の「ねもと整体&ストレッチスタジオ」院長 根本大。20年の臨床経験を持つ関節ニュートラル整体の施術者。健康運動指導士・米国ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。整体技術と運動指導の両面からのサポートしており、長年の経験をお伝えしています。

腰痛から始まり、気づいたらお尻まで痛くなってきた…そんな経験はありませんか?
腰だけではなくお尻も痛くなるという症状がある方は、実は腰痛が進行しているサイン、気をつけなければいけないサインかもしれません。
当院では長年、腰痛とお尻の痛みを同時に訴えている方が多くご来院されていますが、その原因は一つではないと感じています。
腰痛の段階で適切に対処せずに放置していると、徐々に日常生活にも支障をきたすような慢性腰痛から、お尻の痛みも発症してしまいます。
この記事では、私が20年以上の臨床経験をもとに、腰痛からお尻が痛くなるメカニズムと、悪化を防ぐための具体的な対処法について解説いたします。
腰痛とお尻の痛みを放置すると、段階的に症状が悪化していきます。
6ヵ月以上放置は悪化する可能性があります

初期段階では特定の動作で痛みを感じる程度ですが、2週間から3ヶ月経過すると痛みの頻度が増え、お尻から太ももへと痛みが広がり始めます。朝起きた時の違和感が強くなり、長時間座ることも困難になってきます。
さらに3ヶ月から6ヶ月経過すると、安静時でも痛みを感じるようになり、足にしびれや感覚の異常が出現します。夜間痛で睡眠が妨げられ、階段の昇降も困難になります。デスクワークや車の運転が辛くなり、家事や育児にも支障が出始めます。
6ヶ月以上放置すると、常に痛みやしびれがある状態となり、足の筋力が低下すると手術してもなかなか良くならない方もが多いのが現実です。
最悪の場合、排尿・排便障害を伴う馬尾症候群という緊急性の高い状態になり、手術が必要になることもあります。
「そのうち治るだろう」と放置することが最も危険です。早期に適切な対処をすれば、ほとんどの場合手術をせずに改善が可能です。
最初の1か月がヤマ

私自身もヘルニアを経験しました。3ヶ月で痛みは完治しましたが、最初の1ヶ月が地獄のような辛い日々でした。当時、車の運転をよくしていましたが、車から降りた瞬間、足が痺れてしばらく動けなかったことを覚えています。
多くの方が実は1ヶ月過ぎると痛みが軽減する方が多いです。半数ぐらいの方は3ヶ月で完治するので、最初の1ヶ月がピークだと思っていただいて、3ヶ月で自然と回復していきます。
しかし、3ヶ月してもあまり変わらない方は6ヶ月のケースもあります。
お尻の痛みにも様々なケースがありますが、体の組織が入れ替わるサイクルがあるので、自然に回復していく可能性もあるということを覚えておいてください。
セルフケアは慢性期から

自分でセルフケアを始めていいタイミングというのは、痛みが楽になってきて慢性期の期間に入ってからだと考えています。
痛みが強い時に行っても効果も低いですし、やり方を間違ってしまうとかえって痛みが強くなる可能性もあるので、専門家の指導を受けることをお勧めします。
最近だとネットで調べる方も多いと思いますが、症状によって対応が全く変わってくるので、やはり経験が豊富な整体師、柔道整復師、理学療法士といった専門家に見てもらう必要があると思います。
また、やり方を学んでも痛いところまで追い詰めないということが大切だと思います。
やはり自分の体は自分が一番分かるはずなので、少しでも痛みが強くなったりしたら、セルフケアも中断した方がいいと思います。
腰痛からお尻の痺れの段階
【前編】初期から慢性化への進行

腰痛とお尻の痛みを放置すると、段階的に症状が進行していきます。早期に対処することで、深刻な状態を防ぐことができます。
初期症状の段階(発症から2週間)では、特定の動作や姿勢で腰とお尻に痛みを感じますが、休むと症状が軽減し、日常生活は何とか送れる状態です。
しかし、慢性化の始まり(2週間から3ヶ月)に入ると激痛が続くことが多いです。お尻から太ももへ痛みが広がり始め、朝起きた時の痛みや違和感が強くなり、長時間座ることが困難になってきます。
歩行時に痛みで足を引きずり、夜間痛で睡眠が妨げられ、階段の昇降が困難になります。
【中編】日常生活への支障と慢性化

1ヶ月から2ヶ月過ぎて痛みが少し楽になってくれば、日常生活は楽になります。しかし、痛みが慢性的に続くケースが多く、根気よくケアに向き合う必要があります。
整体や病院の理学療法などに通っている方も多いのですが、この時点ではまだ痛みが一気に良くなるタイミングではありません。
しかし、長期化の予防や再発予防のためにもケアをすることで、現在の痛みを緩和させることと同時に、完治した後も再発しないための準備期間だと考えていただくと、できることは多くあると思います。
その状態で痛みが徐々に良くなっていけば、自然に回復していく可能性が大きいので、痛みや痺れがあっても改善されていくと思います。
【後編】深刻な合併症と手術適応

前期と中期のように痛みが徐々に楽になっていくケースは、9割程度の方が自然と回復していきます。
しかし、1割にも満たないと思いますが、回復しないケースでは手術や慢性化、そして重大な障害が残るケースもあるので、医療機関に相談しながら対応する必要があります。
以下には、一般的な深刻なケースをお伝えします。
6ヶ月以上症状が続くと、深刻な合併症のリスクが高まります。
神経の圧迫が長期化すると神経自体がダメージを受け、足の感覚麻痺や筋力低下が固定化することもあります。
特に緊急性が高いのが馬尾症候群です。腰椎の神経束が圧迫される重篤な状態で、両足のしびれや筋力低下、排尿・排便障害、会陰部の感覚障害が現れます。この状態は手術が必要な場合もあります。
また、筋萎縮と歩行障害により、お尻や太もも、ふくらはぎの筋肉が痩せてきます。バランス能力が低下し、転倒リスクが増加してしまいます。
全身への影響も深刻です。運動不足による体力低下、肥満や生活習慣病のリスク増加、メンタルヘルスへの影響として抑うつや不安、社会的孤立なども生じます。
手術が検討されるのは、3~6ヶ月の保存療法で改善がない場合、足の筋力低下が進行している場合、膀胱直腸障害がある場合などです。椎間板ヘルニア摘出術、脊柱管拡大術、固定術などが選択肢となります。
痺れがあるときに避けるべきストレッチ

痺れがある状態でストレッチを行う際は、十分な注意が必要です。間違った方法で行うと、かえって症状を悪化させてしまう危険性があります。
まず避けていただきたいのが、SLR(下肢伸展挙上)テストの過度な実施です。これは仰向けで足を伸ばしたまま持ち上げる動作ですが、坐骨神経を強く伸ばしてしまうため、症状を悪化させる可能性があります。検査としては有効ですが、ストレッチとして繰り返し行うのは危険です。
また、急性期、つまり痛み始めの1〜2週間は、積極的なストレッチ自体を避けるべき時期です。この時期は炎症が強いため、無理に動かすと悪化してしまいます。
症状別に避けるべき動作

椎間板ヘルニアの場合は、前屈動作全般、体をひねる動作、重力がかかる立位でのストレッチを避けてください。これらの動作は椎間板への圧迫を強め、神経への負担を増やしてしまいます。
一方、脊柱管狭窄症の場合は、後屈(体を反らす)ストレッチ、長時間の立位姿勢、腰を反らせる動作を避けましょう。狭窄症では、体を反らす動作が神経の圧迫を強めてしまうためです。
悪化を防ぐ対処法6つのストレッチ
右足の股関節内転

右足の股関節内転。多くの方が右の内転は左の内転よりもやりやすく、このストレッチには順番も大切になってきます。まずは右の内転から、浅く、中間、深く、3段階で関節の引っかかりやつまりを改善していきます。
右足の股関節外転

次に右の外転を行います。どちらかというと右の外転方向には動きづらい傾向にあり、内転の後に外転を行うと体が整います。
左足の股関節外転

次に左足は右と逆に行った方が体が整います。左は右の逆で外転から行うといいです。まず左の外転はやりやすい動きですから、得意な動きから不得意へと行うことで体のバランスを改善できます。
左足の股関節内転

実際にやっていただくと分かりますが、左の内転はやりづらい方が多いです。ということは、こちらを最後に促すように行うことで、左荷重の方のバランスが右にも行きやすくなり、体が整います。
背骨のストレッチ
左回旋に捻るストレッチ

この体幹のストレッチは座って膝を曲げている状態で体をひねるので、腰の負担は少ないです。これが膝を伸ばしての長座のような姿勢で体をひねると、体が硬い人は腰を過剰に捻りすぎてしまいますので注意が必要です。
順番も左回旋から右回旋にひねると、体が整います。
柔道の前受け身のような、屈曲と回旋動作を同時に行うというのが、脊椎の間が開き痛みを緩和する動きになります。
右回旋に捻るストレッチ

左回旋を行ってから右回旋を行うと、少しこちらの方が硬いと感じられる方が多いと思います。そのため右の回旋を後に持っていき、なおかつ少し長くストレッチする時間を保ってください。
腰やお尻の痛みの原因は、腰椎や神経の圧迫から起こっていきます。つまり、この屈曲回旋の動きが少し楽になると、痛みの緩和につながる可能性があります。
禁忌になるストレッチになりづらい理由

今回ご紹介する腰からお尻の痛みやしびれに対応する対策ストレッチは、しびれがある方の禁忌にならないよう配慮したエクササイズです。
例えば、ヘルニアに対しては膝を伸ばして行うSLR(太もも裏のストレッチ)は禁忌であったり、腰のひねりをするとヘルニアが絞り出されるような負担がかかるため、このような動きもほとんどないようにしています。
最後の2つの背中のひねりのストレッチも、膝を曲げてこの動作を行う程度であれば、無理にひねらなければ腰の回旋の動きはほとんどありません。
ただし、やりすぎてしまうとどのようなストレッチも良くないケース、合わないケースがあるため、あくまでも控えめの刺激で試してから、徐々に可動域を広げていった方が安心して実践できると思います。
このような対策ストレッチは1週間でやめてしまっては効果はありません。最低限月単位で考えるべきだと思います。できれば、痛みが回復したとしても日々継続するべきだと思います。
なぜなら、体は常に経年劣化しているからです。手入れをしなければ早くダメになります。逆に言うと、歯磨きをするように予防をすれば、車のように長く乗り続けることができます。
今回ご紹介させていただいた対策は、基本的に腰痛の症状に対応しやすいストレッチです。ぎっくり腰などの急性期で激しい痛みがある時は、もちろんやらないでください。
それ以外のケースでは様子を見ながら行えば効果的ですし、予防のためには最適なストレッチだと思います。
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