最終更新日2026年8月31日
ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
クロールやバタフライの練習を重ねるうちに、肩を上げるたびにズキッとした痛みが走るようになった。そんな経験はないでしょうか。水泳肩(スイマーズショルダー)は、肩関節を酷使する競泳選手に非常に多い障害であり、若い年代の競泳選手を対象にした大規模な調査では、約半数近くの選手が肩の痛みを経験しているという結果が報告されています。特に練習経験が長く、練習量の多い選手ほど発症しやすく、なかには痛みのために練習そのものを継続できなくなるケースもあります。
当院には長年、水泳肩に悩む選手の方が整体とパーソナルトレーニングの両面でのサポートを求めていらっしゃいます。LINEでのご相談から実際にご来院いただく方も多く、その中で私が一貫してお伝えしているのは、痛みを我慢して泳ぎ続けることでも、逆に練習を完全にやめてしまうことでもなく、肩を休ませながら競技力そのものは伸ばしていくという第三の選択肢です。
練習を休むことは、後退ではなく次のステージへの準備期間です。
水泳肩(スイマーズショルダー)とは?

水泳肩とは、1974年にケネディとホーキンスという研究者によって提唱された言葉で、水泳選手に多く見られる肩の痛みや機能不全の総称です。特定の病名を指すものではなく、肩関節のインピンジメント(衝突)症候群や、上腕二頭筋長頭腱炎、腱板の炎症など、さまざまな障害を含む概念として使われています。
クロールやバタフライでは、腕を水中で掻き込むプルスルー相と、水面上に腕を戻すリカバリー相があり、このリカバリー相で肩が急激に外旋させられる際に肩関節の隙間が狭くなり、腱がぶつかって炎症を起こしやすくなります。
競泳選手は1回の練習で肩を数百回から数千回単位で回転させることになるため、日常生活では起こりえないレベルの負荷が繰り返しかかり続けることになります。海外の調査でも、思春期の競泳選手における肩の痛みの発生率はほかの年代よりも高く、練習量そのものが痛みの発生と関係していることが示されています。
練習をすればするほど強くなる、という考え方の限界

当院に来られる水泳選手の多くに共通しているのは、オーバーユース、つまり同じ動作を繰り返し行うことによって障害が起きているという点です。一昔前は、とにかく泳ぎ込めば強くなるという考え方が主流でした。この方法は、もともと体が強い選手や柔軟性に恵まれた選手にとっては通用したかもしれません。
しかし多くの選手は、その途中で肩や腰を痛め、競技から離脱してしまうというケースを何度も見てきました。現在はスポーツ科学が進み、障害を起こすことなく、むしろ安全に競技能力を伸ばしていく方法が確立されつつあります。
私自身、整体師としてだけでなく、ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチとしての知見も積んできましたが、この両方の視点を持つことで、痛みの改善と競技力の向上を同時に目指すサポートができると考えています。
早期からの過度な練習が招くリスク

小学生年代で全国大会入賞などの結果を求めるあまり、一年を通して水泳だけに練習時間を集中させてしまう保護者やコーチの思いが、結果的に選手を追い込んでしまうケースは少なくありません。
海外の研究でも、早期に単一競技への専門化を進め、年間を通じて同じ動作を繰り返すことは、オーバーユース障害のリスクを高めることが指摘されており、水泳はその中でも特にリスクの高い競技のひとつとして挙げられています。
栄養面やトレーニング強度についての十分な知見がないまま、ひたすら練習量を積み重ねて結果を出そうとする方向性は、短期的な結果にはつながっても、選手の長期的な成長や健康を損なう可能性があるという点に注意が必要です。
肩を休ませながら競技力を落とさないという発想

肩が痛い選手が来院された場合、当院ではまず練習時間を少し抑えていただき、下半身や心肺系のトレーニングを取り入れることをお勧めしています。階段の昇り降りや室内用のエアロバイクをこぐといった運動は、肩には一切負担をかけずに、下半身のパワーや全身持久力、そしてストロークを支える筋持久力までも高めることができるからです。
ところが、こうしたアドバイスをする水泳のコーチは実際にはほとんどいません。以前、選手コースに熱心に通うお子さんのお母さんから相談を受け、肩が痛いときは走り込みをするとよいですよとお伝えしたことがあります。その時はあまり響いた様子がなかったのですが、後日、小学生の頃に水泳をやり、中学では水泳と陸上を両立していたという女性が来院された際、陸上と水泳は相性が良いのではと尋ねたところ、まさにその通りだったという答えが返ってきました。
走る動作は地面から反発力をもらう動作であり、特に短い距離のスプリントはSSC(伸張反射を利用した瞬発力)を高めるトレーニングとして非常に有効です。スプリント能力が上がることでジャンプ力なども向上し、水泳のキック力の向上にもつながっていくと考えられます。
実際に海外の研究でも、陸上でのレジスタンストレーニングやプライオメトリック(跳躍系)トレーニングが、水泳のスタートやターン、そして泳ぐスピードそのものの向上に寄与することが示されており、単なる感覚論ではなく、科学的にも裏付けのある考え方だといえます。
セルフチェックで痛みのレベルを確認する

自分の肩がどの程度の状態にあるかを知るために、まず二つのセルフチェックを行ってみてください。ひとつ目は、両手を万歳するように肩を挙上したときに痛みが出るかどうかの確認です。あわせて、腕を後ろに伸ばす方向、いわゆる肩関節を伸展させる動作でも痛みが出るかを確認してください。傾向としては、挙上する動作のほうで痛みが出るケースの方が多く見られます。
ふたつ目は、肩の内旋・外旋のチェックです。肘を90度に曲げて体の横につけ、ボールを投げるときのように内旋と外旋の動作を何度か繰り返してみてください。この動作で痛みが出る場合は、すでにインピンジメント症候群のような、改善に時間がかかる炎症が発症している可能性があります。
海外の研究においても、肩関節の水平外転の可動域が狭い選手ほど、その後のシーズンで肩の痛みを発症しやすいという報告があり、日頃の可動域チェックそのものが予防の第一歩になることが分かっています。
炎症がある時期でもできるセルフケア

上記のチェックで痛みが強く出た場合でも、焦る必要はありません。この段階でも、階段ダッシュや室内用バイクをこぐといった下半身・心肺系のトレーニングは問題なく継続することができます。
むしろこの期間に下半身の瞬発力や筋力、心肺機能をしっかり高めておくことで、肩の炎症が落ち着いてきたタイミングで、競技力を落とすことなくスムーズに練習へ戻っていくことができます。
具体的には、階段や坂道を使った短距離のダッシュを取り入れる、心拍数を上げる目的でエアロバイクを漕ぐ、体幹を安定させるプランクなど肩に負担のかからない範囲での体幹トレーニングを行う、といったメニューが有効です。痛みがあるからといって運動そのものを完全に止めてしまうと、体力や競技感覚まで失われてしまい、復帰がより難しくなってしまうことが少なくありません。
病院ではどのような対応をするのか?

医療機関では、まず問診と画像検査によって腱板やインピンジメントの状態を確認します。対応としては消炎鎮痛剤の処方、湿布や外用薬、注射、電気治療などの物理療法、症状によってはリハビリテーションが行われます。
痛みが強い急性期にはまず安静と炎症を抑えることが優先され、症状が落ち着いてから徐々に肩関節周囲の可動域訓練や筋力トレーニングに移行していくのが一般的な流れです。重度の腱板損傷が疑われる場合は、手術が検討されることもあります。
当院での施術アプローチ

当院では、肩に痛みがある方であっても、必ず全身の動きを調整していきます。一般的な肩のストレッチとは異なり、肩関節を構成する鎖骨、上腕骨、肩甲骨という三つのユニットを、それぞれ独立して丁寧に動かしていく独自の技術を用いています。
このアプローチにより、すでに炎症がある状態でも関節の動きをスムーズにし、痛みそのものを軽減させていくことが可能です。さらに大切にしているのは、肩関節の動きと連動する肘関節、手首関節の動きも最大限に引き出すことです。
一般的な整骨院や整体院では、痛みのある部位、つまり肩だけにアプローチするケースがほとんどですが、実際の動作としては肩・肘・手首は連動して機能しています。この三つの関節の動きを高めることで、結果的に肩関節そのものへの負担を減らすことができると考えています。
肩関節にも直接アプローチできます

当院では、すべての方に対して必ず肩関節の調整を行っております。その点からも、肩関節への施術件数は他院と比べて圧倒的に多いことがお分かりいただけるかと思います。
20年にわたる臨床経験があるからこそ、お一人おひとりに最適な肩への施術をご提供することが可能です。
まとめ

水泳肩(スイマーズショルダー)は、クロールやバタフライのように肩を大きく使う泳法を繰り返すことで起こる、オーバーユースが根本的な原因の障害です。若い競泳選手ほど発症しやすく、練習を休むこと自体に不安を感じる選手やご家族も多いと思いますが、大切なのは肩を完全に休ませつつも、下半身や心肺機能のトレーニングによって競技力そのものを落とさない工夫をすることです。
この記事のポイント
- 水泳肩はオーバーユースが根本原因で、練習量の多い選手ほど発症しやすい
- 万歳の挙上動作、肘90度での内旋・外旋動作の2つでセルフチェックできる
- 痛みがある時期でも階段ダッシュやバイクなど下半身・心肺トレーニングは継続できる
- 当院では鎖骨・上腕骨・肩甲骨、そして肘・手首までの連動を診るアプローチを行う
痛みが強い場合は無理をせず、当院のように肩・肘・手首の連動まで診る施術と、S&Cの視点を組み合わせたサポートを受けることで、炎症の改善と競技力の維持を同時に目指していくことができます。海外の研究でも、陸上でのトレーニングが水泳のパフォーマンス向上に直接寄与することが示されており、練習を休むことは決して後退ではなく、次のステージに向けた準備期間だと捉えていただければと思います。水泳肩は決して珍しい障害ではありませんが、正しい知識と対処法を知っているかどうかで、その後の競技人生は大きく変わってきます。
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有限会社ディーエスシーエス 代表取締役根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大。
・米国NSCA‐CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
・健康運動指導士



