少年野球の投球数の目安と肩を守る体の使い方

少年野球の投球数の目安と肩を守る体の使い方

少年野球の投球数はどこまで?肩を守り球速も伸ばす体の使い方

Director Profile
院長 根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!

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最終更新日 2026年8月9日

投球をしている男性

私自身、小学生時代は少年野球でピッチャーを務め、ソフトボール投げでは学年1位、チームの中でも一番速い球を投げていました。当時は漫画の主人公に影響され、根性で限界を超える練習をすれば球は速くなると信じていた時代です。今のような投球数管理や科学的なトレーニングの概念はまだ一般的ではなく、とにかく毎日投げ込むことが上達への近道だと信じられていました。

20年以上、整体とパーソナルトレーニングの現場で少年野球選手やその保護者と接してきた経験から、投球数の適切な目安と、肩肘の負担を減らしながら球速を伸ばす下半身の使い方について、国内外のエビデンスを交えてお伝えします。自分自身の経験と、指導の現場で見てきた選手たちの変化を踏まえながら、今の保護者や指導者に知っておいてほしい内容をまとめました。

 根性論の時代から科学的トレーニングへ

コーチの話を聞いている女性

私が少年野球をしていた頃は、投げれば投げるほど肩が強くなるという考え方が当たり前でした。毎日投げてハンドスピードを上げる練習を人一倍やっていたことを覚えています。体を連動させる使い方と手のリリースのタイミングが噛み合うと球が速くなるという感覚は、子供ながらに掴んでいました。

ただ、それはあくまで感覚頼りで、投げすぎによる障害のリスクをどう管理するかという視点はほとんどありませんでした。当時のチームには専属のトレーナーもおらず、痛みが出ても根性で乗り切るものだという空気があったように思います。

現在は投球数と休養日数の関係、下半身から上肢への力の伝え方まで、データに基づいて説明できる時代になっています。感覚と科学の両方を持ち合わせることが、今の指導には求められていると感じます。指導者や保護者の世代交代が進む中で、こうした知識のアップデートは選手を守る上で欠かせないものになってきています。

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日本の学童野球における投球数の目安

肩に手を当てている男性

日本の学童野球では、大会中は1日65球以内とし、翌日投球を休めば3日目も65球投球できるという運用が一般的です。3連投する場合は1日の投球数を35球以内とし、4連投は禁止という規定を設けている連盟もあります。団体によって差はありますが、全力投球については小学生は1日50球以内、試合を含めて200球を超えないという目安を示しているところもあります。

概ね1日50球から70球程度が、小学生の全力投球における一つの上限ラインと考えてよいでしょう。この背景には、成長期の骨や軟骨がまだ完全に固まっておらず、大人と同じ感覚で投げ込むと成長軟骨がダメージを受けやすいという事情があります。

特に肘の内側にある成長軟骨は繰り返しの投球ストレスに弱く、痛みを自覚しにくいまま進行してしまうケースも珍しくありません。だからこそ球数という客観的な指標で歯止めをかける仕組みが必要とされているのです。

アメリカの投球数ガイドラインとの比較

投球数について説明をしている男性

アメリカではMLBとUSA Baseballが共同で策定したPitch Smartというガイドラインがあり、9から10歳の投手は1日の投球上限を75球としています。さらに投球数に応じて必要な休養日数まで細かく規定されており、その日20球以下なら翌日は休まなくてよいものの、35球以上投げた場合は翌日の休養が必須とされています。

日本の目安と比べるとやや上限は高めですが、休養日数の管理がより厳格に設計されているのが特徴です。単に上限球数を決めるだけでなく、投げた翌日から翌々日にかけての回復期間まで含めて一つのセットとして管理している点は、日本の現場でも参考にできる部分だと感じます。

ただし、この調査ではユース年代の大会において、実際にはガイドラインを守れていないチームが9割を超えているという実態も報告されており、目安があっても現場での運用が難しいことがうかがえます。大会の勝敗がかかる場面ほど、休養を優先する判断が難しくなるのは、日本もアメリカも共通した課題だと言えるでしょう。

投げすぎと疲労がもたらすリスク

投球をしている男性

投球数そのものよりも見落とされがちなのが、疲労した状態で投げ続けることのリスクです。思春期の投手を対象にした研究では、腕に疲労を感じながら投球を続けていた選手は、そうでない選手に比べて手術が必要な障害を負うリスクが大幅に高いという結果が示されています。

球数を守っていても、疲れが抜けないまま連日投げさせてしまうと、この疲労蓄積のリスクは避けられません。子供は疲れていても「投げられる」と言ってしまうことが多いため、球数だけでなく顔つきやフォームの崩れといった疲労のサインを大人が見極めることが重要になります。

具体的には、いつもよりリリースが早くなる、下半身の踏み込みが浅くなる、投球後に肩を触るしぐさが増える、といった変化が疲労のサインとして挙げられます。

こうした変化に気づいたら、球数が上限に達していなくても投球を切り上げる判断が求められます。大会や練習試合の勝敗を優先するあまり、こうしたサインを見逃してしまうケースは今も少なくありません。

球速を生み出す下半身の使い方とキネティックチェーン

投げている男性

球速は腕の力だけで生まれるわけではありません。下半身で生み出した力を体幹、肩、腕へと順番に伝えていく、キネティックチェーンと呼ばれる連動の仕組みが土台になります。ユース年代の投手を対象にした研究では、軸足が体重を前方へ運び出し、その後ステップした足が着地の際にブレーキをかけることで、その制動力が上半身へのエネルギーとして伝わっていくことが示されています。

つまり、足でしっかり止まる力を作れるかどうかが、そのまま腕のスイングスピードに影響してくるということです。腕だけを鍛えても球速の伸びには限界があり、下半身から体幹、そして肩甲骨まわりへと力がスムーズに流れる連動性を身につけることの方が、長期的には効果も大きく、肩肘への負担も分散させやすくなります。

腕の振りだけを繰り返し練習しても、根本的な力の出どころが変わらなければ、球速の伸びも頭打ちになりやすいというのが実感です。

内転筋のブレーキ動作と体重移動のコツ

投球をしている男性

以前NHKの番組で、大谷選手が日本にいた頃に取り組んでいたトレーニング映像を見る機会がありました。ケトルベルを持ちながら右足から左足、左足から右足へと体重を移動させるサイドランジを繰り返す内容で、これが二刀流を支える土台になったと紹介されていました。

多くの野球選手は利き足と利き手が同じ側に偏りますが、大谷選手は右投げ左打ちという形で両方向の体重移動を高いレベルでこなせています。このとき鍵になるのが内転筋です。足を踏み込みながら内股の内転筋にしっかり力を入れることで急ブレーキがかけられ、そのブレーキで生まれた力が体幹を通って腕のスイングへと伝わっていきます。下半身の力を手に伝えるコツと言い換えてもよいでしょう。

この動きはピッチングだけでなくバッティングにも共通する極意とされており、投打どちらのパフォーマンスにも直結する要素です。下肢の筋力や可動域が球速と関連することは複数の研究でも示されており、感覚的な話ではなく裏付けのある動きだと言えます。

内転筋を意識した体重移動は、専門的なトレーニング指導を受けなければ習得できないものではなく、正しい動きの順番さえ理解すれば、少年野球の年代からでも段階的に身につけていくことができます。

メディシンボールトレーニングで下半身の力を上肢に伝える

メディシンボールでトレーニングをしている男性

弊社では創業当初から、プロボクシングの世界チャンピオン選手のトレーナーを担当してきた経緯があり、格闘技選手のパフォーマンス向上を目的としたトレーニング指導も行ってきました。当時指導していたある世界チャンピオン選手は、下からのサイドスローによるメディシンボールスローを取り入れており、下半身のパワーを上肢へつなげる有効な手段になっていました。

スピードには優れていたもののパンチ力が課題だった選手で、このトレーニングを軸にフィジカル強化を進めた結果につながった経験があります。以来、格闘技の選手が度々パーソナルトレーニングに訪れるようになり、メディシンボールを使ったトレーニングを継続的に指導してきました。

現在は少年野球の選手に対しても、足から体幹、体幹から上肢へと力を伝える実践的なパワートレーニングとして、メディシンボールとその土台になるサイドランジを取り入れています。実際、回旋方向にメディシンボールを投げる速度は、バットスイングの速度と一定の相関関係があることも報告されており、下半身から生まれた回旋の力を上半身へ伝える能力を測る指標としても活用できます。

子供の年代で導入する場合は重すぎるボールを使わず、正しい体重移動のフォームを優先して段階的に負荷を上げていくことが大切です。

自宅でできる体重移動トレーニングのポイント

サイドランジをしている男性

専門的なトレーニングでなくても、自宅で取り組める体重移動の練習はあります。ポイントは、足を踏み込んだ瞬間に内股の内転筋を意識してしっかり止まる感覚をつかむことです。

重りを持たない状態でのサイドランジからスタートし、右から左、左から右へと体重を移す動きを繰り返すだけでも、下半身のブレーキ感覚は養えます。最初は10回程度をゆっくりしたテンポで行い、足が内側に流れず、膝がつま先の方向を向いた状態でブレーキがかけられているかを確認しながら進めるとよいでしょう。

慣れてきたら軽いボールを使い、足のブレーキと同時に上半身を回旋させて投げる動作を組み合わせると、キネティックチェーンの感覚がつかみやすくなります。

無理に負荷を上げる必要はなく、正しい動きの順番を体に覚えさせることが優先です。フォームの崩れが見られる場合や、痛みを伴う場合は無理に続けず、専門性の高いトレーナーに一度見てもらうことをおすすめします。

【まとめ】

投球をしている男性

球数と休養、そして疲労のサインを見極める視点が欠かせません。あわせて重要になるのが、下半身で生み出した力をどう上半身へ伝えるかという体の使い方です。足でしっかりブレーキをかけ、その力を体幹、肩、腕へと順番に伝えていくキネティックチェーンの仕組みは、球速を伸ばす上でも、肩肘への負担を減らす上でも土台になります。

肩肘を守るための体の使い方

  • 球数管理と休養、疲労のサインを見極める視点を持つ
  • 足でブレーキをかけ、体幹・肩・腕へ順番に力を伝えるキネティックチェーンを土台にする
  • 内転筋を使った体重移動で、力の伝え方を体に覚え込ませる
  • メディシンボールを使ったパワートレーニングも有効な手段になる
根性論だけで練習量を積み重ねていた少年時代を振り返ると、当時にこうした知識があれば、もっと効率よく、そして怪我なく成長できたのではないかと感じることがあります。

今の子供たちや保護者には、感覚だけに頼らず正しい知識を持って取り組んでほしいという思いがあります。投球数の管理と科学的な体の使い方を組み合わせて取り組むことが、これからの少年野球選手の肩肘を守り、長くプレーを続けるための鍵になっていくはずです。お悩みの方は、ぜひねもと整体&ストレッチスタジオへお気軽にご相談ください。

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