ジャンプの着地で膝を痛めてしまう最大の原因は、膝が内側に入り込む「ニーイン・トウアウト」と呼ばれる着地動作の癖にあります。とくに女子のバスケットボール選手に多く見られる動作で、一瞬の着地で前十字靭帯(ACL)を損傷し、長期の競技離脱につながることもあります。
膝そのものを鍛えるよりも、股関節をしっかり使って着地の衝撃を吸収できているかどうかが、怪我の予防とパフォーマンス向上を分ける大きなポイントです。この記事では、現場での指導経験をもとに、着地動作のチェック方法と改善のポイントをお伝えします。
ジャンプの着地で膝を痛める選手が多い理由

バスケットボールにおいて、ジャンプの着地で膝を痛めてしまう選手は少なくありません。とくに女子選手に多く見られ、一瞬の着地の瞬間に前十字靭帯(ACL)を損傷してしまうケースがあります。ACLは一度切れてしまうと、靭帯を作り直す手術と半年以上のリハビリが必要になり、競技生活に大きな影響を及ぼします。
私は7年間、県立高校の男子バスケットボール部でフィジカルトレーナーを務めてきました。男子選手であっても、一定数の生徒が前十字靭帯の損傷によって競技を続けられなくなる場面を目の当たりにしてきました。
当時から、なぜジャンプ動作でこうした怪我が起こるのかを、ウォーミングアップや筋力トレーニングの中で重要な指導ポイントとして位置づけ、選手たちへの指導を強化してきた経緯があります。
着地時に膝が内側に入る「ニーイン・トウアウト」という動作の癖

ジャンプの着地で膝を痛めてしまう選手の動作を見ていくと、共通してある特徴が見られます。それが「ニーイン・トウアウト」と呼ばれる、膝が内側に入りすぎてしまう動作の不良です。
つま先の向きに対して膝が内側に入り込んでしまうことで、膝の関節に大きなねじれの負担がかかり、一瞬で靭帯を損傷してしまうリスクが高まります。とくに女子選手の場合、骨盤の形状や筋力バランスの影響から、この内側に入る動作が自然と多くなる傾向があります。
だからこそ、日頃から着地動作を意識的に修正していく取り組みが欠かせません。ここからは、この一瞬で怪我をしてしまう着地動作を、どのように予防していけばよいのかをお伝えしていきます。
現場で見落とされがちな体の使い方

バスケットボールの指導者の先生方の多くは、戦術やテクニックの指導に力を注いでいると思います。しかし現場では、前十字靭帯損傷やオスグッド病といった膝のスポーツ障害も、選手や保護者にとって非常に悩ましい問題です。動作そのものの修正は、競技の指導者の先生方にとっても難しいポイントだと感じています。
今回は保護者の方やスポーツ指導の先生方にもぜひ参考にしていただきたいのですが、着地時に膝を痛めてしまう原因は、先ほどお伝えした膝が内側に入ってしまう癖にあります。これはジャンプ動作に限った話ではありません。
トレーニングコーチの立場からスクワット動作を細かく見ていくと、少し膝が内側に入っている選手が非常に多く見受けられます。つまり、ジャンプ動作そのものを練習する前に、まずはスクワット動作でつま先と膝の方向を一致させることが、非常に大切なポイントになります。
スクワットでつま先と膝の向きをチェックする方法

ジャンプ動作にはジャンピングスクワットのような瞬発的な動きが関わってきます。しかし、いきなりジャンピングスクワットに取り組む前に大切なのは、通常のスクワット動作で膝が内側に入っていないかを、選手同士で相互にチェックすることです。
足の支点となるのは人差し指です。しゃがみ込んだときに、この足の人差し指が向いている方向と、膝が向いている方向を合わせてチェックしてみてください。多くの選手は、しゃがんだときに若干膝が内側に入っていることに気づくはずです。
少ししゃがんだ状態でつま先を開き気味にすると、バランスが取りやすくなります。ただし常に念頭に置いていただきたいのは、つま先と膝の方向を一致させるという原則です。つま先がまっすぐ向いていれば膝もまっすぐ、つま先が20度開いていれば膝も20度、つま先が50度開いていれば膝も50度開く、というように、つま先と膝は常に同じ角度を向いている状態が理想です。
股関節をしっかり使うことが膝を守る

スクワット動作でもうひとつ重視しているのが、膝だけでなく股関節をしっかり屈曲させる意識があるかどうかです。膝の周囲は、もともと筋肉量がそれほど多くない部位と考えてよいでしょう。筋肉が少ない膝関節だけで着地の衝撃をコントロールしようとすると、一瞬で膝が内側に入り込んでしまう可能性が高まります。
それよりも大切なのが股関節です。股関節をしっかり屈曲させること、そしてそのときに膝が内側に入っていないかを同時にチェックすること。この2点を意識するだけでも、ジャンプの着地時に股関節がしっかり働き、衝撃を吸収してくれるため、膝への負担を大きく減らすことができます。
膝の向きを確認する意識と、股関節を深く使う意識、この両方を並行して身につけていくことが、怪我の予防につながります。
正しい着地を体感するためのトレーニングメニュー

高いジャンプからの着地で膝を痛めてしまうことを考えると、最も実践的なのは、実際にジャンプの着地動作を練習しながら評価と修正を繰り返していくことです。ただし、高い場所から飛び降りるようなトレーニングは、パーソナルトレーニングのように専門的な環境が整っていないと、かえって危険を伴う可能性があります。
高校生のバスケットボール部を指導していた際は、ベンチプレスなどに使うトレーニングベンチを利用して着地の練習を行っていました。まずベンチから飛び降りて着地するという練習を、指導者が見本を見せながら選手に行わせます。ポイントになるのは、膝の角度と股関節をしっかり屈曲させる意識です。
もうひとつ大切なのが、腕の振りです。腕がうまく使えていないと、着地のバランスも崩れやすくなります。着地の瞬間に膝と股関節を曲げながら、肩関節を後方に伸展させて「ため」をつくるような動作を意識させています。この「ため」がしっかりつくれると、次のジャンプへの移行がスムーズになり、選手はジャンプに対する高いスキルを身につけることができます。
小学生や中学生の場合、ベンチからのボックスジャンプでは負荷が強すぎることがあります。そこでおすすめしているのが、踏み台昇降で使うステップ台です。ご家庭でも購入できるサイズで、高さの調整も可能です。低い台から始めて、徐々に高さを上げていくことで、着地トレーニングの負荷を段階的に高めていくことができます。
改善できた高校生選手の実例

正しい動作は怪我の予防になると同時に、パフォーマンスの向上にもつながります。以前、バスケットボールをしている高校生が、ジャンプの着地時に膝が痛いという訴えでご来院されたことがありました。
整体で施術を行いながらも、動作そのものに問題があるのではないかと感じ、実際にジャンプをしてもらったところ、着地の瞬間に膝が内側に入っていることが分かりました。
そこでパーソナルトレーニングも合わせて提案したところ、整体と並行して受けていただくことになりました。10回ほど指導を重ねる中で、ジャンプ動作の癖を見つけ出し、修正することができました。結果として膝の痛みが改善されただけでなく、今後のバスケットボール活動における怪我の予防にもつながる指導ができたと感じています。
よくある質問
Q1. 子供の膝の痛みは、病院と整体どちらに相談すればよいですか?

A1.痛みが強く、腫れや熱感がある場合、また「ゴキッ」という音とともに膝が抜けるような感覚があった場合は、靭帯や半月板の損傷が疑われるため、まず整形外科を受診してください。慢性的な痛みや、動作の癖が気になる場合は、動作そのものを見直す整体やトレーニング指導が力になれることがあります。
Q2. ジャンプの着地で膝が痛いとき、運動は休むべきですか?

A2.痛みが出ている間、無理に練習を続けると、動作の癖が修正されないまま負担を重ねてしまい、悪化につながりやすくなります。痛みが強い時期は運動量を調整しながら、原因となっている着地動作の見直しを並行して行うことが大切です。
Q3. 家庭でできる膝のセルフチェックの方法はありますか?

A3.お子さんにゆっくりスクワットの姿勢をとってもらい、足の人差し指の向きと膝の向きが一致しているかを確認してみてください。しゃがんだときに膝がつま先より内側に入り込んでいる場合は、着地時にも同じ癖が出ている可能性があります。
まとめ

ジャンプの着地で膝を痛めてしまう根本的な原因は、膝が内側に入り込む「ニーイン・トウアウト」という着地動作の癖にあります。この記事でお伝えしたポイントを、日々の練習やご家庭でのチェックに取り入れてみてください。
- スクワット動作で足の人差し指と膝の向きを一致させる
- 膝だけでなく股関節をしっかり屈曲させる意識を持つ
- ベンチやステップ台を使い、低い高さから段階的に着地練習を積み重ねる
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・米国NSCA‐CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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