子供の前屈ができない原因|体が硬いとケガしやすい理由

子供の前屈ができない原因|体が硬いとケガしやすい理由

最終更新日2026年10月27日

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院長 根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
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スポーツをするお子さんの保護者の方へ

前屈ができないことは、腰と膝をケガしやすい動き方の、大きな目印です。

子供の前屈ができない原因は、太ももの裏のハムストリングスや、お尻の筋肉が硬いことにあります。体が硬いと、腰を低くしたときに腰が丸まったり、しゃがんだときに膝が内に入ったりしやすくなります。その結果、腰椎分離症やぎっくり腰、オスグッド病、膝の靭帯のケガにつながることがあります。

私は20年以上、整体院とパーソナルトレーナーとして、スポーツをするお子さんの体を見てきました。ケガをする子には、前屈ができないという共通点がとても多いと感じています。この記事では、その理由と、苦手な動きを直すストレッチのコツをお伝えします。

前屈ができない子は、なぜケガをしやすいのか?

前屈をしている女性

小中学生や高校生でスポーツをしているお子さんにとって、ケガやスポーツ障害はとても大きな問題です。私は長年、整体院とパーソナルトレーナーの現場で、たくさんの選手を見てきました。その中で、ケガの大きな要因のひとつが「前屈ができないこと」ではないかと感じています。

ただ、大切なのは前屈そのものができるかどうかではありません。前屈ができない体は、スポーツ中に腰や膝へ負担をかけやすい動き方になりやすい。そこが問題なのです。

ケガで来院するお子さんを見ていると、痛い場所そのものより、動き方に原因が隠れていることが多くあります。膝が痛いから膝だけ、腰が痛いから腰だけを見ていても、なかなか良くなりません。そんなときは、体全体の動きのバランスを見直す必要があります。

前屈は、特別な道具がなくても、その場ですぐに確認できます。だからこそ、私はまず前屈を見て、体のどこに硬さがあるのか、どんな動き方のクセがあるのかを探していきます。

研究でも、太ももの裏の硬さと腰痛の関係が調べられています。日本の高校野球選手を1年間追いかけた研究では、およそ半数の選手が期間中に腰痛を経験しました。そして、投げる腕と反対側の太ももの裏が硬い選手は、腰痛が起こりやすい傾向があったと報告されています。

子供の体は、なぜ硬くなりやすいのか?

座っている男性

「小さいころは柔らかかったのに、最近急に体が硬くなった」。保護者の方から、こうしたお話をよく伺います。

成長期には、骨がぐんぐん伸びます。筋肉は骨の伸びに少し遅れてついていくため、一時的に引っぱられた状態になりやすいと言われています。特に太ももの裏や前の筋肉は、この影響を受けやすい場所です。

さらに、練習量が増えると、筋肉は疲れて張った状態が続きます。練習後のケアの時間が少ないと、硬さが少しずつたまっていきます。

また、学校や家で座っている時間が長いと、太ももの裏やお尻の筋肉は縮んだ状態が続きやすくなります。スポーツをしているお子さんでも、座っている時間は意外と長いものです。

カナダの高校生を1年間追いかけた研究では、新しく腰痛が出た生徒について、その原因になりやすい条件が調べられました。その結果、身長が大きく伸びたことに加えて、太ももの前と裏の筋肉が硬いことも、腰痛の起こりやすさと関係していたと報告されています。

成長期は、体が硬くなりやすく、腰を痛めやすい時期でもあります。だからこそ、この時期に前屈をチェックしておくことが大切です。

私が最初に見るのは、足を閉じて膝を伸ばした前屈

前屈をしている男性

整体院でお子さんの体を見るとき、私がまず行う検査があります。足をしっかり閉じて、膝を伸ばしたままの条件で、前屈をしてもらう検査です。

すると、指先が床から離れているお子さんがとても多くいます。最低限、指先が床にタッチできるかどうかで、腰や膝にかかる負担は変わってくると感じています。

ご家庭でも確かめられます。やり方は次のとおりです。

・裸足で立ち、両足をぴったりそろえる
・膝を伸ばしたまま、反動をつけずにゆっくり前に倒れる
・指先が床に届くか、届かない場合は床から何センチ離れているかを見る
・痛みが出る場合は、無理をせず途中でやめる

このとき、指先の位置だけでなく、背中の丸まり方も見てください。太ももの裏が硬い子は、骨盤があまり前に倒れず、背中だけを大きく丸めて手を伸ばそうとします。

7歳から18歳の子どもを対象にした海外の研究では、長座体前屈の結果は、骨盤の傾きだけで6割以上、腰の曲がり方を合わせると8割以上が説明できたと報告されています。つまり前屈の結果には、太ももの裏の硬さだけでは分からない、骨盤と腰の動き方が大きく表れるのです。

パワーポジションで腰が丸まると何が起こる?

しゃがんでいる男性

あらゆるスポーツで大切な基本姿勢に、パワーポジションがあります。軽く膝を曲げて、腰を落として構える姿勢です。スクワットに似ていますが、よりスポーツの動作に近い姿勢です。私は両足でも片足でも、この姿勢を評価することがあります。

実は、この姿勢が前屈と深く関係しています。前屈ができない選手は、太ももの裏のハムストリングスや、お尻の大臀筋など、体の後ろ側の筋肉が硬い方が多いです。そうした選手が腰を低くして構えると、腰が丸まってしまうことがとても多いのです。

腰を低くしたときの、わずか数センチの曲がりです。しかし、この小さな曲がりが、腰椎分離症などのスポーツ障害や、ぎっくり腰のような急性の腰痛に関わってきます。練習や試合で何百回、何千回と繰り返すうちに、腰に負担がたまっていくからです。

バスケットボールやサッカー、野球、バレーボールなど、競技が違っても、構える姿勢や低い姿勢は共通して出てきます。だからこそ、前屈の硬さは、競技を問わず確認したい項目です。

腰椎分離症のお子さんを対象にした日本の研究では、ハムストリングスの硬さが腰の骨への負担を増やす可能性があるとして、太ももの裏や前、ふくらはぎのストレッチを自宅で続けてもらいました。2か月後には、多くのお子さんで筋肉の硬さが改善したと報告されています。

腰椎分離症とは、どんなケガ?

説明を聞いている男性

腰椎分離症は、腰の骨(腰椎)の後ろ側にある細い部分に、疲労骨折が起きるケガです。成長期のスポーツ選手に多く見られます。

体を反らす動きを繰り返す競技で起こりやすいとされています。野球のバッティングやピッチング、サッカーのキック、バレーボールのスパイクなどが代表的です。

最初は「練習のあとに腰が重い」「体を反らすと痛い」といった軽い症状から始まることが多いです。そのまま練習を続けると、痛みが長引くことがあります。

腰椎分離症は、レントゲンだけでは見つけにくいこともあり、MRIなどの検査で分かることもあります。腰の痛みが長く続くときは、早めに整形外科で相談してください。

若いアスリートの腰椎分離症についてまとめた海外の総説では、正しい診断を受けて、運動の休止やリハビリなどの手術をしない治療を行えば、多くの選手がスポーツに復帰できると説明されています。早めに気づいて対応することが大切です。

前屈ができない子は、本来は股関節で行う動きを、腰で代わりに行いがちです。腰椎分離症を防ぐためにも、太ももの裏やお尻の硬さを見直しておきたいところです。

膝が内に入る動きは、膝のケガにつながる?

しゃがんでいる男性

ハムストリングスが硬いと、しゃがむ動作が十分にできません。すると、しゃがみ込んだときに、膝が内側に入る動きをしてしまう人が多いと感じます。

この動きが、急に止まるストップ動作や、ジャンプの着地で出ると、膝に大きな負担がかかります。前十字靭帯の損傷など、膝の大きなケガにも関係してきます。

ご家庭では、鏡の前で軽くしゃがんでもらうと確認できます。正面から見て、膝がつま先より内側に入っていないかを見てください。片足でしゃがむと、より分かりやすくなります。

膝が内に入るクセは、しゃがむときだけでなく、走っていて方向を変えるときや、ジャンプの着地でも出ます。スマートフォンで正面から動画を撮ってみると、ご家庭でも気づきやすくなります。

アメリカで行われた研究では、サッカー、バスケットボール、バレーボールをする女子選手205人のジャンプ着地を計測し、その後の経過を追いました。のちに前十字靭帯を損傷した9人は、着地のときに膝が内側へ入る角度が、損傷しなかった選手より大きかったと報告されています。調べた人数は多くありませんが、膝が内に入る動きに気をつけたい理由を示す研究です。

オスグッド病と太ももの硬さは関係ある?

しゃがんで説明を聞いている男性

オスグッド病は、膝のお皿の下にある骨の出っ張りが痛くなる、成長期の代表的なスポーツ障害です。走る、跳ぶ、蹴るといった動きを繰り返すことで起こりやすくなります。

太ももの前の筋肉は、膝のお皿を通って、すねの骨の出っ張りにつながっています。この筋肉が硬いと、膝を曲げ伸ばしするたびに、成長途中のやわらかい骨が強く引っぱられます。

日本のサッカー少年を1年間追いかけた研究では、膝の痛みがまだない段階で体を調べ、その後オスグッド病になった膝の特徴を比べました。その結果、太ももの前の筋肉の硬さや膝を伸ばす力の強さに加えて、太ももの裏の柔軟性も、危険因子として挙げられています。

膝の痛みを訴えるお子さんでも、太ももの前だけでなく、裏の硬さもあわせて見ることが大切です。前屈とあわせて、うつ伏せでかかとがお尻につくかも確認してみてください。

膝が痛くて来院した高校生の女子バスケットボール選手の症例

前屈をしている男性

新百合ヶ丘にお住まいで、県立高校の女子バスケットボール部に所属する高校生が、膝の痛みで来院されました。すでに病院や整骨院にも通っていましたが、「動作に問題があるのではないか」と考えて、当院に来られたそうです。

前屈を確認すると、前屈ができないほど、太ももの裏が硬い状態でした。この硬さが、バスケットボールの低い姿勢や着地で、膝や腰への負担につながっていたと考えられます。

そこで、痛い場所だけでなく、苦手な動きを整えていきました。不得意な動きを少しずつ改善していくと、その選手の痛みも改善していきました。

この症例のように、痛みが出ている場所と、原因になっている動きの苦手なところが、離れていることはよくあります。痛い場所だけを追いかけず、動きの全体を見ることが大切です。

前屈のほかに、あぐらや開脚でも確認する?

開脚をしている男性

床の上では、次のようなテストもよく行います。

・あぐらで前に倒れて、肘が床につくか
・開脚をして前に倒れて、肘が床につくか

これらはどれも、股関節がどれだけ動くかを見るテストです。股関節の動きが足りないと、その分を腰を過剰に動かして補っている可能性があります。反対に、ケガをしにくいお子さんは、動きのバランスが良い方が多いと感じています。

たとえば、長座の前屈はできるのに、開脚して前に倒れようとすると硬い。そんな苦手な動きがないかも、確認の対象です。どの方向の動きが苦手かを知ることが、ケガを防ぐ最初の一歩になります。

アメリカの病院からは、腰椎分離症と股関節の問題を同時に抱えていた、15歳から19歳の男子選手8人の報告があります。全員に、股関節を内側にひねる動きが小さいか、股関節を曲げてひねったときの痛みが見られました。股関節の動きを取り戻すリハビリなどを行い、5人が競技に復帰したとされています。

腰の痛みであっても、股関節の動きまで見ておくことが大切だと分かる報告です。

不得意な動きは、得意な動きから入るとなぜ動きやすい?

開脚をしている女性い

ストレッチで、私が徹底している法則があります。動きにくい方向へ関節を動かしたいときは、得意な動きをやってから、不得意な動きを行うことです。

たとえば、開脚で前に倒れず、肘が床につかないとき。後ろから無理に押してもらうと、逆効果になることも少なくありません。そこで、次のように進めます。

1.前に倒れにくいときは、前に倒して、戻す。
2.前に行かなくなったら、床を押すつもりで足で押し返し、体を少し戻す。
3.前、後ろ、前、後ろと、3回から5回ほど繰り返す。
4.最後に、前に倒して伸ばす。

前に行かない体を、前へ前へと押しても動きません。いったん押し返して戻してから行くと、自然と前に行きやすくなります。これが、得意な動きから不得意な動きに入るコツです。

前屈も同じです。前屈ができない方は、太ももの裏のハムストリングスが伸びていません。膝を伸ばしても伸びない場合は、伸ばす前に、膝を曲げます。曲げて伸ばす、曲げて伸ばす、そして最後に伸ばす。すると不思議と、膝が少し伸びるようになります。

床を押し返すように軽く力を入れてから伸ばす方法は、海外で研究されている「PNFストレッチ」に近い考え方です。海外の総説では、関節の動く範囲を広げるのに効果が高いストレッチとして紹介されています。力を入れるときは、全力の2割ほどの軽い力で、3秒ほどが目安とされています。

ストレッチは、どのくらいの時間と回数を続ければいい?

開脚をしている男性

もうひとつ大切なことがあります。やりやすい、好きなストレッチばかりを多くやるのではなく、むしろ不得意な動きを、少しずつ改善していくことです。

時間の目安は、1回30秒ほどです。アメリカで太ももの裏が硬い大人を対象に行われた研究では、週5日、6週間のストレッチで、30秒伸ばすグループでも柔軟性がしっかり高まりました。60秒に延ばしても、1日3回に増やしても、それ以上の差は見られなかったと報告されています。

大人を対象にした研究ですが、長い時間がんばるより、短い時間でも毎日続けることが大切だと考えられます。お風呂あがりなど、体が温まっている時間に行うのがおすすめです。

はじめは、苦手なストレッチを1日1〜2種類、それぞれ30秒を1〜2回から始めてみてください。慣れてきたら、少しずつ種類を増やしていきます。

保護者の方は、お子さんが痛がっていないか、息を止めて力んでいないかを見てあげてください。気持ちよく動かせる範囲で、少しずつ行うことが大切です。痛みが出るときは、無理に続けないでください。

ストレッチだけでなく、動きの練習もケガの予防になる?

しゃがんでいる女性

体が柔らかくなっても、それだけでケガがなくなるわけではありません。柔らかくなった体を、スポーツの動きの中で正しく使えることが大切です。

ストレッチで動ける範囲を広げたら、次はパワーポジションやしゃがみ込み、ジャンプの着地など、実際の動きの中で確認していきます。腰が丸まらないか、膝が内に入らないかを見ながら、少しずつ練習します。

練習は、まずはゆっくりした動きから始めます。慣れてきたら、少しずつスピードを上げたり、片足で行ったりして、実際の競技の動きに近づけていきます。

青少年のスポーツを対象にした海外のメタ分析では、ジャンプや着地、バランスなどを練習する「神経筋トレーニング」によって、脚のケガの起こりやすさが約36%低くなったと報告されています。

前屈やあぐら、開脚で苦手な動きを見つけ、ストレッチで動ける範囲を広げ、動きの練習で使えるようにする。この順番で進めると、体の変化を実感しやすくなります。

痛みが続くときは、どうすればいい?

しゃがんでいる女性

お子さんは、痛みを我慢して練習を続けてしまうことがあります。「最近、動きがぎこちない」「しゃがむのを嫌がる」といった様子が見られたら、声をかけてあげてください。

運動のたびに痛む、何週間も痛みが続くといった場合は、まず医療機関で、骨や靭帯に異常がないかを確認してもらうことが大切です。

受診するときは、いつから痛いのか、どんな動きで痛むのか、最近練習の量が増えていないかを伝えると、診察がスムーズになります。

腰椎分離症の小中高生のアスリートを調べた日本の研究では、骨がつながるかどうかに、ひびの進み具合とあわせて、太ももの裏の柔軟性も関係していたと報告されています。早く見つけることと、体の硬さを整えることは、どちらも大切だと言えます。

そのうえで、ケガの背景にある動き方のクセを整えていくのが、整体院の役割だと考えています。前屈ができない、開脚が苦手、しゃがむと膝が内に入る。こうしたサインが見つかったときは、お気軽にご相談ください。ねもと整体&ストレッチスタジオでは、お子さんの動きの苦手なところを一緒に確認します。

まとめ

前屈をしている男性

前屈ができるかどうかは、ただの柔らかさの話ではありません。腰や膝を守る動き方を見分けるための、入り口です。

この記事のポイント

  • ・前屈の結果は、太ももの裏だけでなく、骨盤と腰の動きも映し出します。
  • ・成長期は骨の伸びに筋肉が追いつかず、体が硬くなりやすい時期です。
  • ・前屈ができないと、低い姿勢で腰が丸まり、腰椎分離症やぎっくり腰に関わります。
  • ・ハムストリングスが硬いと膝が内に入りやすく、太ももの硬さはオスグッド病にも関係します。
  • ・前屈のほか、あぐらや開脚でも、股関節の苦手な動きを確認します。
  • ・得意な動きから不得意な動きへ入り、1回30秒ほどのストレッチを毎日続けます。
  • ・柔らかくなった体は、動きの練習でスポーツの中で使えるようにします。
やりやすいストレッチだけを続けるのではなく、苦手な動きに向き合うこと。それが、お子さんの腰と膝を守る一番の近道です。

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