最終更新日2026年10月27日
ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
その肩の痛み、五十肩ではなく「腱板損傷」かもしれません。
肩が痛い。そのような方は、ローテーターカフ、すなわちインナーマッスルの損傷かもしれません。ローテーターカフは肩を支える4つの小さな筋肉で、このうち1本でも傷つくと腱板損傷となり、肩に痛みが出ます。
私は20年以上、整体院とパーソナルトレーナーとして、たくさんの肩の痛みを見てきました。この記事では、腱板損傷と五十肩の見分け方と、痛めてしまったときに知っておいてほしい「時間が薬」という考え方をお伝えします。
目次
肩が痛いのは、ローテーターカフの損傷かもしれません

腕を上げると肩が痛い。服を着替えるとき、髪を洗うとき、棚の上の物を取るときに、肩がズキッとする。そのような方は、ローテーターカフ、すなわちインナーマッスルの損傷かもしれません。
肩の痛みというと、多くの方が「五十肩かな」と考えます。もちろん五十肩のこともありますが、実は肩の奥にある小さな筋肉が傷ついている、ということも少なくありません。
この記事では、ローテーターカフとはどんな筋肉なのか、痛めるとどうなるのか、五十肩とどう見分けるのかをお伝えします。痛めてしまったときに知っておいてほしい、「時間が薬」という考え方もご紹介します。
ローテーターカフとは?肩を支える4つのインナーマッスル

ローテーターカフは、肩周りの4つのインナーマッスルとして知られています。日本語では「回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)」、短く「腱板(けんばん)」と呼ばれます。
4つの筋肉は、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)です。どれも肩甲骨から始まり、腕の骨(上腕骨)の上のほうにつながっています。
肩の丸みをつくる三角筋のように、外から見える大きな筋肉はアウターマッスルです。ローテーターカフはその下、体の奥にあるため、インナーマッスルと呼ばれます。
4つの筋肉の腱は、腕の骨の頭を包むように集まっています。その形が袖口(カフ)のように見えることから、ローテーターカフという名前がつきました。
ローテーターカフは、どんな働きをしている?
肩の関節は、体の中でいちばん大きく動く関節です。腕を前にも横にも後ろにも上げられ、ひねることもできます。
ただ、よく動くぶん、骨どうしのはまり方は浅く、不安定です。ゴルフボールがティーの上に乗っているような形、とよくたとえられます。
そこでローテーターカフが、腕の骨の頭を肩甲骨のくぼみに引きつけて、関節がずれないように支えています。腕を上げるときも、ひねるときも、ローテーターカフが働いているからこそ、肩はなめらかに動けるのです。
役割を簡単にまとめると、棘上筋は腕を横に上げ始めるとき、棘下筋と小円筋は腕を外にひねるとき、肩甲下筋は腕を内にひねるときに、主に働きます。
スポーツをしている人は、腱板を痛めていることが多い

スポーツをしている人は、インナーマッスルを損傷したり、炎症を起こしたりしている人がかなり多いです。
野球のピッチング、バレーボールのスパイク、テニスのサーブ、水泳のクロール。腕を頭より高く上げて強く振る動きを何度もくり返すスポーツでは、ローテーターカフに大きな負担がかかります。
腕を振るときに関節を支え、振り終わりにブレーキをかけるのも、ローテーターカフの役目です。何千回、何万回とくり返すうちに、腱がこすれたり、小さな傷がたまったりしていきます。
痛みがなくても、使い続けた肩の中では変化が起きていることがあります。痛みが出てきたときは無理をせず、早めに休ませることが大切です。
腕を頭の上で使うトップレベルの選手20人の肩を、MRIで調べた研究があります。痛みのない利き腕の肩のうち40%に、腱板の部分的な断裂や完全な断裂と同じ所見が見つかりました。反対側の肩では0%でした。
腱板損傷とは?筋肉に穴が空いた状態
ローテーターカフの4本の筋肉のうち、1本でも筋肉に穴が空いていると、「腱板損傷」といって、肩に痛みが出ます。
腱板損傷には、腱の厚みの一部だけが傷ついた「部分断裂」と、腱を貫くように穴が空いた「完全断裂」があります。いちばん傷みやすいのは、肩の上を通る棘上筋です。
腱板が傷つくと、腕を上げようとしても力が伝わりにくくなります。そのため、腕を上げる途中で痛みが出たり、力が入らなかったりします。
夜、寝ているときに肩がうずく、痛いほうの肩を下にすると眠れない、という方も多くいます。
ちょっとぶつかっただけでも、腱板損傷は起こる
腱板損傷というと、大きなケガを想像するかもしれません。ところが、ちょっとぶつかっただけでも、腱板損傷は起こります。
転んで手をついた、ドアの角に肩をぶつけた、重い荷物を持ち上げた。そんな日常のちょっとしたことが、きっかけになります。
特に年齢を重ねると、腱そのものが弱くなっていきます。もともと傷みかけていた腱に小さな力が加わって、損傷が起こることもあります。
一方で、はっきりしたきっかけがなく、いつの間にか痛くなっていたという方も少なくありません。「何もしていないのに痛い」というのも、腱板損傷ではよくあることです。
五十肩だと思っていたら、腱板損傷だったということも

はっきりしたきっかけがないまま肩が痛くなると、最初は「五十肩かな」と思う人も多いのです。年齢的にも、五十肩が気になる世代と重なります。
ところが、MRIで調べてみると、実は腱板が損傷していた、という人が多いといわれています。
秋田県のある村で、住民664人の両肩を超音波で調べた研究があります。腱板の完全断裂が見つかった人は22.1%。50代で10.7%、60代で15.2%、70代で26.5%、80代で36.6%と、年齢とともに増えていきました。
しかも、断裂があった人の約3分の2には、肩の痛みなどの症状がありませんでした。腱板の傷は、思っている以上に身近なものなのです。
腱板損傷を調べる検査はMRI
肩の腱板損傷を調べる検査は、MRIになります。
レントゲンは骨を見る検査なので、筋肉や腱の傷はほとんど写りません。MRIなら、腱板に穴が空いているか、どのくらいの大きさか、どの筋肉が傷ついているかまで確かめられます。
超音波(エコー)で腱板の状態を見る整形外科もあります。どの検査が必要かは、医師が症状に合わせて判断します。
「五十肩だろう」と自己判断して様子を見るのではなく、痛みが続くときは一度、整形外科で検査を受けてください。原因がわかると、どう過ごせばいいかもはっきりします。
自分では上がらないのに、支えると上がる肩は要注意

肩を上げたときに痛みが出て、反対側の手で肘を支えて上げると上がる。そんな方は、腱板損傷の疑いが強いといわれています。
つまり、筋肉に傷があるので、自分の力で上げようとすると激痛で上がらない。けれど、関節そのものは固まって(拘縮して)いないので、アシストすると上がる、ということです。
試すときは、痛くない範囲でゆっくり行ってください。痛いほうの腕を、反対の手で肘の下から支えながら、前へ持ち上げていきます。
支えれば上がるのに、手を離して自分の力だけで保とうとすると、腕がストンと落ちてしまう。これも腱板損傷でよく見られるサインです。強い痛みが出るときは、無理に続けないでください。
五十肩と腱板損傷の違いは「支えても上がるかどうか」
五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。肩の関節を包む袋(関節包)が炎症を起こして縮み、固くなっていく状態です。
関節そのものが固まるので、自分で上げても、人に手伝ってもらっても、腕が上がりません。背中に手を回す、腕を外にひねるといった動きも制限されます。
一方、腱板損傷は、関節は固まっていないのに、腕を持ち上げる筋肉が傷ついている状態です。自分では上がらなくても、支えると上がります。
同じ「肩が上がらない」でも、原因によって、体の中で起きていることはまったく違います。五十肩と腱板損傷が同時に起きていることもあるので、最終的な判断は医師にゆだねてください。
腱板を痛めても、時間とともに良くなっていく

もしローテーターカフの筋肉を痛めてしまっても、時間で良くなるということを知っていただきたいです。
腱板の穴そのものは、自然にはふさがりにくいといわれます。それでも、痛みや肩の動きは、時間とともにある程度回復していくことが多いのです。時間が薬ということですね。
体の組織が回復するには、年単位の時間がかかります。五十肩も、1〜2年ほどかけて少しずつ良くなっていくことが多いといわれています。焦らずに、時間をかけて付き合っていくことが大切です。
ケガではなく自然に起きた腱板の完全断裂がある452人に、決まった運動プログラムを行ってもらった研究があります。6週と12週で痛みや肩の働きの点数がはっきり良くなり、2年間で手術を選んだ人は25%未満でした。約75%の人は、手術をせずに過ごせたことになります。
回復を待つ間に、気をつけたいこと
時間が薬とはいっても、何もしなくていいわけではありません。回復を待つ間の過ごし方も大切です。
まず、痛みが強く出る動きを、無理にくり返さないこと。痛いのを我慢して腕を上げ続けると、傷ついた腱にさらに負担がかかります。
かといって、まったく動かさずにいると、今度は関節が固くなってしまいます。医師やリハビリの指示に沿って、痛みのない範囲で少しずつ動かしていきましょう。
また、肩は肩だけで動いているわけではありません。肩甲骨や背中が固いと、そのぶん肩の関節に負担が集まります。当院では、医療機関で診断を受けていただいたうえで、肩甲骨や背骨の動き、姿勢など、肩に負担をかけている体の使い方を見ていきます。
スポーツをしている方は、痛みが落ち着いても、すぐに元の練習量に戻さないでください。少しずつ段階を踏んで復帰することが、再発を防ぐ近道です。
こんなときは、早めに整形外科へ
次のような場合は様子を見ずに、早めに整形外科を受診してください。
・転んだりぶつけたりした後から、腕が上がらなくなった
・腕に力が入らず、持ち上げた腕を保てない
・夜も眠れないほどの痛みが続いている
・腕や手にしびれがある
・数週間たっても痛みが良くならない
特に、ケガのあとに急に腕が上がらなくなった場合は、早めの検査が大切です。早く原因がわかれば、その後の過ごし方や治療の選び方も変わってきます。
まとめ
肩の痛みは、五十肩だけとは限りません。肩を支えるインナーマッスル、ローテーターカフの損傷かもしれません。
この記事のポイント
- ・ローテーターカフは、肩の関節を支える4つのインナーマッスルです。
- ・腕を頭より上で振るスポーツでは、腱板の損傷や炎症が多く見られます。
- ・4本のうち1本でも穴が空くと腱板損傷となり、ちょっとぶつかっただけでも起こります。
- ・五十肩と思っていても、MRIで調べると腱板損傷だったという人は少なくありません。
- ・自分では上がらないのに支えると上がる肩は、腱板損傷の疑いが強いサインです。
- ・腱板を痛めても、痛みや動きは時間とともに回復していくことが多く、時間が薬です。
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