足が速くなる子の体の使い方

足が速くなる子の体の使い方

最終更新日2026年10月15日

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院長 根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
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足が速くなるコツ

子供の足を速くするコツは、「速く走れ」と声をかけることではなく、体の緊張を外したうえで、スキップ動作で腕の振りと接地のしかたを整えることです。

速く走ろうと力むほど、腕は振れなくなり、足も上がらなくなります。

小学生には複雑なドリルを教える必要はありません。肘を曲げて腕を小さく速く振ること、指先を進行方向にまっすぐ振ること、地面に足がつく時間を短くすること。この1つか2つに絞って、スキップで繰り返すだけで、走りは少しずつ変わっていきます。

この記事では、ねもと整体&ストレッチスタジオで子供たちに伝えている考え方と、家でできるスキップドリルを、具体的な声かけの例と一緒に紹介します。

「速く走れ」と言うほど足が遅くなる理由

走っている男の子

お子さんの足を速くしたいと思ったとき、多くの保護者の方が最初にかける言葉が「もっと速く走って」です。気持ちはとてもよく分かります。ただ、この声かけは逆効果になることが少なくありません。

人は「速く走らなければ」と思うと、体に力が入ります。肩や首が緊張し、腕が思うように振れなくなります。足も上がりにくくなり、地面を蹴ることばかり意識して、動きがぎこちなくなります。本人は一生懸命なのに、力学的にはスピードが出にくい状態になってしまうのです。

家でたくさん走らせているのになかなか速くならない、というご相談もよくあります。その場合、走る量が足りないのではなく、走るたびに同じ遠回りな動きを繰り返しているだけ、ということが多いです。

大切なのは、頑張らせることではありません。速さを邪魔している動きを外して、正しい動きを機械的に繰り返せる形にしてあげることです。

小学生にはポイントを1つか2つに絞って伝える

説明をしている男性

小学生の走りを良くしようとすると、あれもこれも直したくなります。腕をしっかり振る、膝を高く上げる、つま先を下げずに上げる、接地を短くする、腕をまっすぐ振る。どれも間違いではありません。ただ、一度に全部を伝えても、子供は頭が混乱して、結局どれもできなくなってしまいます。

おすすめは、その子に一番足りない点を見つけて、1つか2つだけ伝えることです。たとえば「腕をまっすぐ前後に振る」と「つま先を下げずに上げておく」の2つです。複雑なドリルを覚えさせるよりも、簡単な動きを毎日少しずつ続けるほうが、動きは確実に身につきます。

言葉も短いほうが伝わります。「ひじを曲げて速く振ろう」「地面をポンポンさわろう」くらいの短さが、小学生にはちょうどいいです。

足が速くなるスキップの4つのポイント早見表

ここまでのポイントを、やり方と声かけの例と一緒に1枚の表にまとめました。お子さんに伝えるときは、この中から1つか2つだけ選んでください。

ポイントやり方声かけの例期待できること
腕の振り肘を90度に曲げて、小刻みに速く振る「肘ポンポン」足のリズムと腕の回転がかみ合う
腕の向き指先を進行方向にまっすぐ振り、ひねりを入れない「指先はまっすぐ前」力が横に逃げにくくなる
接地時間足が地面につく時間を短くする「地面が熱いよ」地面の反発をもらいやすくなる
つま先つま先を下げず、軽く上げておく「地面をポンポンさわろう」地面を短くとらえやすくなる

おすすめドリルは走る動きによく似たスキップ

スキップをしている男性

すぐに家でできるドリルとして、私がおすすめしているのがスキップです。スキップは、走るときの動きと共通点がたくさんあります。腕と足が交互に動くこと、片足ずつ地面に接地すること、体が前に進むこと。走る動きの縮小版と考えるとイメージしやすいです。

しかも、走るときのように「速く」という意識が入りにくいので、体が緊張しにくいという利点があります。力みが抜けた状態で、腕の振りや接地のしかたを確認できます。

場所もほとんど選びません。公園でも庭でも、10メートルほどの直線があれば十分です。往復を数本、毎日続けるだけで、動きは少しずつ変わっていきます。

肘を90度に曲げる競歩スキップで腕と足のリズムを合わせる

一緒に走っている親子

スキップというと、腕を下げたまま、ゆったり弾むイメージが一般的だと思います。そこで一工夫して、競歩のように肘を90度に曲げ、手を小刻みに振りながらスキップをするドリルを行います。

こうすると、腕が小さくコンパクトに回転します。足のピッチが速いタイミングと腕の回転がかみ合い、自然と速く走るためのフォームができていきます。細かく言葉で説明しなくても、体がこのリズムを覚えてくれるのが、このドリルの良いところです。

最初はぎこちなくても大丈夫です。まずは腕を振る形を作ることを優先して、慣れてきたら足のリズムを少しずつ速くしていきます。10メートルを数本行うだけで十分です。

腕はひねらず、指先を進行方向にまっすぐ振る

腕を振っている男性

腕の振りで見落とされやすいのが、振る方向です。腕を大きく振ろうとするあまり、体の前で交差させたり、体をひねったりしてしまう子がとても多いです。体にひねりが入ると、力が前ではなく横に逃げてしまい、スピードにつながりません。

目安は、指先がまっすぐ進行方向に向かって前後に動くことです。肘を曲げたまま、肘を後ろに引く意識で振ると、腕が左右にぶれにくくなります。

家で確認するときは、保護者の方が正面か後ろから見てあげてください。腕が体の中心線を越えていないか、肩が左右に大きく回っていないかを見るだけで構いません。うまくできているときは、体の上半分が静かで、足だけが軽やかに動いて見えます。

接地時間を短くすると地面の反発をもらえる

走っている男性

スキップ動作のもう一つの大事なポイントが、足が地面についている時間、つまり接地時間です。接地時間が短いほど、地面からの反発をもらいやすくなり、足が速く回転します。逆に、地面に長くついていると反発をもらいにくく、スピードが落ちやすくなります。

膝を高く上げることも走りには大切です。ただ、50メートル走のような短い距離では、そこまで足を高く上げる必要はありません。それよりも、地面に足がついている時間を短くする意識のほうが重要です。膝の高さより接地の短さを優先する、と覚えておいてください。

あわせて、つま先を下げないことも意識します。つま先を軽く上げておくと、地面を短くとらえやすくなります。足を地面に置きにいくのではなく、ポンと軽く触れて、すぐに次の足へ切り替えるイメージです。

熱い砂浜を走るイメージで感覚を変える

砂浜を走っている男性

動きを言葉で細かく指示すると、子供は考えすぎて体が固まってしまいます。そんなときは、イメージで感覚を変える方法が役立ちます。

たとえば「真夏の砂浜を走っているつもりで」と伝えます。熱い砂の上では、誰でも足を長くつけていられません。ペタペタとつくのではなく、ポンポンと素早く足を入れ替えるはずです。この感覚が、まさに接地時間を短くする走りです。

やり方は簡単です。スキップをするときに、「地面が熱いよ」と一言添えるだけです。細かい説明をしなくても、子供は体で感じ取って動きを変えてくれます。遊び感覚で取り組めるので、練習が苦手な子でも続けやすいです。

腕のひねりが原因だった野球少年の例

走っている野球少年

実際にスタジオで見たお子さんの例を紹介します(個人が特定されないよう一部変更しています)。野球をしている小学生で、あまり足が速くなく、家でもよく走っているのにスピードが出ないというお悩みでした。

スキップ動作を見てみると、腕が進行方向ではなく、体をひねるような動きで振られていました。これでは力が左右に分散して、前に進む力になりません。さらに、肘が伸びたまま大きく腕を振っていました。腕の回転が遅くなるので、特にスタートの加速局面でスピードに乗れません。

そこで指導したのは2つだけです。指先をまっすぐ進行方向に振ること。そして、肘をたたんでコンパクトに速く振ること。この2点に絞って、スキップで繰り返してもらいました。すると、徐々に走りが変わり、少しずつ速くなっていきました。

走る量を増やすよりも、腕の振りという原因を直したことが効いた例です。

学年に合わせた伝え方のコツ

指導を聞いている男性

同じ小学生でも、低学年と高学年では、伝え方を少し変えると効果的です。

低学年のうちは、理屈よりも遊びが一番です。「熱い砂浜ごっこ」や「忍者スキップ」のように、ゲームの形にして取り組むと、楽しみながら動きが身につきます。ポイントは1回に1つだけ。「今日は腕だけ」「今日は地面ポンポンだけ」と決めてしまうのも良い方法です。

高学年になると、自分の動きを客観的に考えられるようになります。スマートフォンで横や後ろから動画を撮り、一緒に見ながら「腕がまっすぐ前後に動いているか」を確認すると、納得して取り組めます。ただし、動画を見て直すところを増やしすぎないようにしてください。直すのは、やはり1つか2つまでです。

家で練習するときの進め方と保護者の声かけ

声掛けしている男性

家で取り組むときは、長くやりすぎないことが大切です。10メートルのスキップを数本、1回5分ほどで十分です。毎日少しずつ続けるほうが、週末にまとめてやるより動きが身につきます。

声かけは「速く走れ」ではなく、動きに向けます。「肘ポンポン」「地面が熱いよ」「指先はまっすぐ前」など、短い言葉で、1回に1つだけ伝えます。できたときは、タイムではなく動きを褒めてあげてください。「今の腕、いい振りだったよ」と言われると、子供はその動きをもう一度やろうとします。

タイムを何度も測るのは、あまりおすすめしません。測るたびに「速く走らなきゃ」という緊張が戻ってきてしまうからです。タイムは、1か月に1回くらいで十分です。

やってしまいがちなNGな練習と声かけ

一休みをしている男性

最後に、効果が出にくくなる練習の例をまとめます。

1つ目は、一度にたくさん直そうとすることです。ポイントが多いと、子供は何も意識できなくなります。2つ目は、できていないところばかり指摘することです。叱られながら走ると、体はさらに緊張します。3つ目は、疲れているのに本数を増やすことです。疲れた状態で繰り返すと、悪い動きがそのまま身についてしまいます。動きが崩れてきたら、その日はそこで終わりにしてください。

また、走っている最中に痛みを訴える場合は、練習を止めて様子を見てください。膝やかかと、すねなどの痛みが続くときは、無理に続けずにご相談ください。

まとめ

走っている子供

子供の足を速くするために大切なのは、頑張らせることではなく、速さを邪魔している動きを外すことです。ポイントを1つか2つに絞り、スキップで繰り返してみてください。

足を速くするための大切なポイント

  • 「速く走れ」と声をかけると体が緊張して、かえって遅くなる
  • 小学生には1つか2つのポイントに絞って伝える
  • 走る動きによく似たスキップを、ドリルとして使う
  • 肘を90度に曲げた競歩スキップで、腕と足のリズムを合わせる
  • 指先は進行方向にまっすぐ振り、腕にひねりを入れない
  • 接地時間を短くすることを、膝の高さより優先する
  • 熱い砂浜のイメージで、感覚から動きを変える
  • 声かけは動きに向けて、1回に1つだけ伝える

まずは今日、10メートルのスキップを数本から始めてみてください。
毎日5分の小さな積み重ねが、走りを変えていきます。

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