骨盤は本当に動くの?

「骨盤が歪む」という言葉をよく耳にしますが、実際のところ骨盤はどのように動くのでしょうか?整体院で「骨盤が歪んでいる」と言われた経験がある方も多いはず。
今回は、整体師兼パーソナルトレーナーの視点から、骨盤の動きの真実と、腰痛との関係について詳しく解説します。骨盤矯正でダイエット効果が期待できる?その疑問にも答えていきましょう。
骨盤が動く?
動かない?
整体院や整骨院で「骨盤が歪んでいますね?」と言われてご来院されるケースがあります。
気の毒なのは色々情報で迷走している女性。
骨盤矯正でダイエット効果?くびれができる?
など、メディアの情報も滅茶苦茶。
信じている女性もいますが、思い込みです。
私も整体以外にも、パーソナルトレーナーもしているので、はっきりと骨盤矯正でのダイエット効果はないと言えます。
先日も、女性で歪んでいるから、真っ直ぐにしたら、長年の腰痛が良くなると考えられている方がいました。
そのような方は,画素のような腿裏のハムストリングスが硬い方がほとんど。
骨盤が歪んでいるから腰痛になっているわけでもなく、、
足が硬い
長座の姿勢で骨盤が立たない方は、骨盤後傾をして、背骨が曲がってしまっている方がほとんどです。
実は、このハムストリングスが硬いことで首や腰が悪くなっているのですが、真剣にこの取り組みをしている方は少ないことが現状です。

骨盤は歪まないですが、前傾と後傾します。

骨盤はズレたり、歪んだりすることはないのですが、前傾後傾ことにはあります。
これは、腰痛に直接関係します。

いきなり、長座のストレッチをしても、腿裏の筋肉が硬い方は、背中が曲がってしまいます。
それこそ、背中の円背を増強してしまいます。
まずは、ハムストリングス(腿裏)を伸ばす前に膝を屈伸することがコツです。
筋肉も関節も、伸びないから、逆に曲げたり、収縮すると伸びやすくなります。
上のスライドのように単純に骨盤座ると後傾しやすいです。
あぐらをかく方は、背中が丸くなりますよね?
ぎっくり腰を繰り返す方は骨盤後傾

前述のとおり、腰をすぐに曲げると癖がある方は気が付いたら、ぎっくり腰をやっちゃった!という経験があると思います。
これは、足が硬いことが原因で骨盤後傾から、腰椎を曲げ過ぎている為です。
その理由が、腿裏ハムストリングスの拘縮です。
背筋が弱いことも挙げられますが、まずはハムストリングスの硬さを疑った方がいいですね。
下のページではぎっくり腰の原因について、ベテラン整体院長対談です。
悩んでいる方にもシェアしてください。
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医学的には動かない骨盤がなぜ動くと言われるのか?

日本の整体のベースは、アメリカのカイロプラクティックを学んだ方が日本に広める際に、サブラクセーション(椎骨のズレ)と脊椎の歪みを整えることで病気や不調が改善されると伝わったことが起源だと考えられます。
しかし実際に、東海大学で脊椎のアジャストメントがどの程度骨を動かすかを調査したところ、1mmも動かないという意外な結果が判明しました。その1mmというのは、本来の生理的可動域からさらに施術として力を加えても、ほとんど動かないということが確認されました。
カイロプラクティックの歴史的背景
もともとカイロプラクティックは、アメリカでスピリチュアルな背景から発祥し、「難聴が治った」という触れ込みでアメリカ全土に広まり、世界中に普及しました。
当時は科学的に実証できなかった理論が、徐々に研究により明らかになり、前述の臨床実験などにより、骨がそれほど動いたり戻ったりすることはないということが分かってきています。
現在の整体業界の現状
しかし、カイロプラクティックの理論的要素を未だに引きずっており、さらに整体業界において営業的にアピールしやすいということで、「骨盤の歪みやズレ」という概念が未だに浸透してしまっているのではないかと考えています。
インターネット上でも、多くの専門家である整体師や整骨院の先生方がこの考えを持っている方が非常に多いのが現状です。
しかし、一般的な町の整体院や整骨院では、多くのところが脚長差を確認して「歪んで戻りました」というアピールを行っているのが実情です。
科学的根拠に基づいたアプローチの必要性
このような背景を踏まえ、患者様には科学的根拠に基づいた正しい情報をお伝えし、実際に効果のある機能的なアプローチを提供することが、我々専門家の責務であると考えています。
ほとんどの方が骨盤のズレや開きを気にする必要がない理由

医学的根拠に基づいた事実
前述のことから、骨盤の歪みやズレなどは全く気にする必要がないということがご理解いただけると思います。
多くの「骨盤の歪み」に不安を感じている方は、医学的な正確な情報を知らずに、専門家を名乗る人がアピールしている情報に戸惑い、そしてセールス力の強い営業手法により、高額なサービスを受け続けているのが現状です。
医療機関での実際の対応
まず、医療機関で「骨盤の歪みを直してください」と言われたことはないはずです。
レントゲンやMRIなどの画像検査の結果、「整体に行って骨盤矯正を受けてください」と医師から指示されたこともないはずです。
また、出産した際にも医療機関で「早く骨盤を閉めないと骨盤が開いたままになります」ということを言われたこともないはずです。
なぜ骨盤の歪みを気にするのか?
では、なぜ多くの方が骨盤をそこまで気にするのでしょうか?
その理由は、インターネットの情報や整体・整骨院の同業者から言われて「なんとなく」という方が多いのではないでしょうか?
結論
つまり、ほとんどの方が骨盤のズレや歪みは全く気にする必要がなく、出産後であっても自然に元の状態に戻るため、心配する必要がないということがご理解いただけると思います。
本当に必要なアプローチ
骨盤の歪みという概念に惑わされることなく、実際の身体機能の改善、特に前述したハムストリングスの柔軟性向上や姿勢改善など、科学的根拠に基づいた実効性のあるアプローチに注力することが重要です。
患者様には、このような正確な情報をお伝えし、本当に必要なケアを提供することが、我々専門家の使命であると考えています。
骨盤の歪みよりも姿勢不良を気にした方がいい理由

全身姿勢への着目の重要性
最後に皆さんにお伝えしたいのは、骨盤の歪みよりも身体全体の姿勢不良を気にされた方が良いということです。
それも、できればただ姿勢を正すということではなく、運動習慣により運動しながら姿勢を保つには:
どの筋肉をストレッチすればよいのか?
どの筋肉が弱いから姿勢が悪くなっているのか?
ということを考えて運動することが大切です。
実践的なアプローチ:スクワット
そう考えても、なかなかご自身では難しいと思われますよね?
簡単にできるのはスクワットです。
スクワットというのは、実は簡単な動作ではなく、正確にスクワットができる人はほとんどいないと考えられます。
しゃがむ際に深くしゃがむと腰部が屈曲してきます。この姿勢をどのような意識でしゃがめるようにするかということを究極的に考えていくと、姿勢改善につながります。
正しいスクワットの実践方法
様々な要因がありますが、まずは自重でのスクワットを行ってみてください。
おすすめは鏡を横に置いて、横から見て背中が丸まっていないか、正しい姿勢でできているかということをチェックし、日々動作を観察することです。
日常的に行っていくと、徐々に正しい姿勢が保てるようになるはずです。
スクワットの継続効果
また、スクワットを継続していくと自然と下半身に筋肉がつき、筋肉量が増加すると動作もさらに楽になってきます。
無理に負荷を強くすることよりも、正しい姿勢で慣れてから回数を増やしていくことが姿勢維持に大切だと考えています。
根本的な意識の変化
このように考えていくと、骨盤の歪みやズレを気にするよりも、運動習慣によって身体が変わるということが実感され、「骨盤が開いたり歪んだりする」という不安も気にならなくなります。
まとめ
骨盤の歪みという概念に囚われることなく、科学的根拠に基づいた全身の機能改善、特に正しい運動習慣の確立こそが、真の健康維持・改善につながるのです。
腰痛肩こりケア体操



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