胸郭出口症候群でお悩みの方へ ! 整体師が教える原因と改善法なぜ夜に痛みが強くなるのか?

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大
川崎市登戸・向ヶ丘遊園の「ねもと整体&ストレッチスタジオ」院長 根本大。20年の臨床経験を持つ関節ニュートラル整体の施術者。健康運動指導士・米国ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。整体技術と運動指導の両面からのサポートしており、長年の経験をお伝えしています。

胸郭出口症候群とは?
胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome:TOS)は、首から腕にかけて走る神経や血管が圧迫されることで起こる症状の総称です。胸郭出口とは、鎖骨と第一肋骨の間、前斜角筋と中斜角筋の間の狭いスペースのことを指します。
この狭い部分で神経や血管が圧迫されると、腕や手にさまざまな不快な症状が現れます。現代社会では、デスクワークやスマートフォンの使用増加により、この症状に悩む方が急増しています。
改善期間の目安
胸郭出口症候群の改善には個人差がありますが、軽度の場合は2-4週間で症状の軽減を実感でき、中等度の場合は1-3ヶ月で日常生活に支障のないレベルまで改善し、重度の場合は3-6ヶ月の継続的な施術が必要となります。
重要なのは、症状が改善しても根本原因である姿勢や生活習慣の改善を継続することです。
他の治療法との併用
整体施術は他の治療法と併用することで、より効果的な改善が期待できます。まずは整形外科で正確な診断を受けることをお勧めし、理学療法との組み合わせで機能改善を図ります。症状が強い場合は医師の処方薬との併用も有効です。
胸郭出口症候群は現代人に多く見られる症状ですが、適切なアプローチにより改善が可能です。重要なのは、間違った情報に惑わされることなく、正しい知識に基づいた対処法を実践することです。
主な症状

胸郭出口症候群の症状は、圧迫される部位によって異なります。神経が圧迫される神経型TOSでは、腕や手のしびれやピリピリ感が現れ、手指の感覚が鈍くなったり握力が低下したりします。手の細かい作業がしにくくなり、特に夜間に症状が悪化することが多く見られます。
一方、血管が圧迫される血管型TOSでは、腕の冷感や色調変化(青白くなる)が起こり、腕の疲労感や重だるさを感じるようになります。腕を上げると症状が悪化し、むくみやこわばりも現れます。
実際の臨床では、多くの場合神経は、神経症状と血管症状が混在して現れることが一般的です。
原因となる要因

胸郭出口症候群の原因は大きく分けて構造的要因と機能的要因があります。構造的要因には、生まれつき余分な肋骨がある頸肋、第一肋骨の異常、鎖骨の変形、筋肉の発達異常などがあります。
しかし、より一般的なのは機能的要因です。現代人に多い猫背、巻き肩、頭部前方位などの不良姿勢が大きな原因となっています。また、斜角筋群、小胸筋、僧帽筋上部の過緊張も症状を引き起こします。腕を頭上に上げる動作の繰り返し、むち打ち症や鎖骨骨折の既往といった外傷、そして精神的緊張による筋緊張も要因として挙げられます。
当院の独自アプローチ - 段階的調整法

当院では独自の段階的調整法により、胸郭出口症候群の根本改善を目指しています。
まず第一段階として、固定された関節の調整を行い、関節の硬い部分の動きをスムーズにします。すると興味深いことに、背骨が硬くなる現象が起こります。これは体の自然な反応で、一時的に背骨が安定性を求めるためです。
第二段階では、背骨の調整を行うと、徐々に硬さが玉ねぎの皮のように層状に上部頸椎へと集まってきます。この上部頸椎の状態が胸郭出口症候群に大きく影響しているのです。
第三段階では、症状改善の鍵となる第1肋骨・第2肋骨周辺に「わずかな遊び」を作る調整を行います。この微細な調整により、圧迫されていた神経が解放され、首の動きが劇的に改善されます。特に斜め前への首の動きがスムーズになると、自然と神経への圧迫が軽減され、症状が改善する方が多く見られます。
絶対に避けるべき動作 - 重要な注意点

ここで一般の方に強くお伝えしたいことがあります。間違っても首を後ろに反らす動作や、首をぐるぐる回す動作は絶対に避けてください。
多くのネット情報では首を後ろに反らすストレッチが推奨されていますが、胸郭出口症候群の方にとっては逆効果です。実際には、後ろに反りすぎることで症状が悪化している方が大多数なのです。
当院の施術経験から、斜め前への調整を行った方が症状が楽になることが分かっています。ストレッチを行う際も、後ろではなく斜め前の屈曲・回旋動作を行うことで、同様に神経への圧迫が軽減される可能性があります。
ただし、頸椎の動きが著しく硬直してしまった場合、自分では施術のような調整はできません。ある程度セルフケアを試みて、斜め前のストレッチを行っても反応が低い場合は、無理に自分で行おうとせず、頸椎の調整ができる熟練した専門家に依頼することをお勧めします。
日常生活で避けるべき動作パターン

ヨガなどで後ろに反る動作が強いエクササイズがありますが、これらは症状を悪化させる可能性があります。特に集団プログラムでは、他の参加者と同じようにやらなければという心理が働き、無理をしてしまうリスクが高まります。後ろに反る動作は危険であることを十分に認識し、運動時だけでなく日常生活でも、天井を見上げるような首の動作を長時間行わないよう注意してください。
興味深いことに、筋トレ系YouTuberで胸郭出口症候群を発症した動画を見ることがあります。これはトレーニングフォームの問題が関係していると考えられます。特にラットプルダウンや懸垂のように上を見上げるような姿勢で行うと、首が後ろに反って神経を圧迫する可能性があります。上から引くラットプルダウンではなく、前から引くシーテッドローでも十分に背中のトレーニングが可能ですので、自信がない方はこちらを選択することをお勧めします。
猫背が胸郭出口症候群の原因として挙げられがちですが、実際には猫背の姿勢で長時間パソコン作業を行うと、その反動で首が後ろに反っている可能性があります。特にデスクトップパソコンはノートパソコンと比べて画面が高い位置にあるため、首を起こして長時間作業することで、首が後屈伸展状態になりやすいのです。
運動指導者・施術者の選び方

私たち整体院やトレーナーは、このような症状に対応する運動指導を学び続ける必要があります。一般の方が運動指導を受ける際は、指導者がメディカル的な知識を持つ運動指導者なのか、フィットネスのみの運動指導者なのかを見極めることが重要です。
特に年齢が高い方ほどリスクが高まるため、そのような方は経験豊富な運動指導者から運動を学ぶことや、リラクゼーション系ではなく根本的な改善を目的とした整体施設・運動施設を選ぶべきです。
最近では整体や整骨院の先生でも、トレーニング指導ができるところも増えています。症状がある方で運動を始める方は、いきなりフィットネスやボディーメイク・ボディービルの専門の運動施設よりも、メディカル的な知識がある姿勢が理想的だと思います。
整体的アプローチによる改善法

姿勢の改善では、現代人の多くが抱える猫背・巻き肩の矯正を根本から行います。胸椎の可動性を回復し、肩甲骨の正しいポジションを取り戻すことで、胸郭出口の圧迫を軽減します。
また、スマートフォンやパソコン使用により前方に突き出た頭部を正しい位置に戻すことで、頸部の筋緊張が軽減され、神経の圧迫が改善されます。
私の整体院での取り組みは胸郭出口症候群でも全身のケアや全身のストレッチ・筋トレを指導しています。姿勢を崩しているのは意外にも下肢の柔軟性低下からきています。
胸郭出口症候群改善の鍵となります

筋肉の調整では、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の緊張をしています。これらの筋肉は胸郭出口を形成する重要な構造物のため、適切な施術が症状改善の鍵となります。小胸筋の過緊張は肩甲骨の動きを制限し、間接的に胸郭出口症候群を悪化させるため、この筋肉を適切にリリースすることで肩周りの動きが改善されます。また、肩こりの原因でもある僧帽筋上部の緊張を取り除き、首肩周りの血流を改善します。
しかし、この筋肉がなぜ?硬くなるのか?という原因については多くの専門家の視点と臨床家の私は違います。
関節の可動性改善では、胸椎の伸展・回旋可動域を改善することで肩甲骨の正常な動きを取り戻し、肩甲骨の上方回旋、下制動作を改善して腕を上げる際の正しい動作パターンを回復します。頸椎の正常なカーブを回復し、神経の通り道を確保することも重要な要素です。
また、自分では動かせない鎖骨の僅かな動きというのも見逃してはいけません。鎖骨は自分では動かせない関節ですが、鎖骨を摘み、僅か1mm以内の弾力をつけること。また第一肋骨、第二肋骨も頸椎の動きを制限しており、弾力を戻すと首も楽に回るようになります。
セルフケア・予防法 日々の日常で気を付けること

日常生活では以下の点に注意してください:
・デスクの高さを肘が90度になるよう調整する
・モニターは目線の高さに設置する
・定期的な休憩を取り、同じ姿勢を続けない
・適切な高さの枕を使用する
・横向きで寝る場合は腕の下にクッションを入れる
・うつ伏せ寝は避ける
効果的なストレッチとしては、首を前に倒して伸ばすストレッチを1日3回、各30秒実施します。首のストレッチでは、頭を横に傾け、斜め前方向への優しいストレッチを行います。後ろに反らすストレッチは避けてください。左右各30秒を1日3セット行います。肩甲骨を寄せる、回すといった動作で肩甲骨周りの血流を改善することも効果的です。
頸椎のストレッチは、核心的な部位でありますが、自分での調整はあまりできません。デリケートなところなので、あくまでも予防にという意味で姿勢を中心に考えられるといいと思います。
再発予防の為も運動習慣

当院では、まず初回カウンセリングで症状の詳細な聞き取りと、日常生活の動作パターンの確認を行います。続いて立位、座位での姿勢チェックと、腕の挙上動作などの機能評価を実施します。
施術では個々の状態に合わせた手技療法を行い、無理な力は加えず、患者様の反応を確認しながら慎重に進めます。最後にご自宅でできる安全なストレッチや日常生活での注意点をお伝えするセルフケア指導を行います。
特に首を後ろに反らす動作は症状を悪化させる可能性が高いため、絶対に避けてください。代わりに斜め前への動作を心がけ、日常生活での動作パターンを見直すことが症状改善への第一歩となります。
整体による段階的な関節な高度な調整と筋肉の緩和、そして正しい生活習慣の実践により、多くの方が症状の軽減を実感されています。
症状でお悩みの方は、経験豊富な専門家にご相談ください。一人ひとりの状態に合わせた丁寧な施術で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。
早期の対応が改善への近道です。
登戸ねもと整体&ストレッチスタジオのご症状・お悩みメニューは下記になります。腰痛(坐骨神経痛・ぎっくり腰・分離症・すべり症・腰椎椎間板ヘルニア)肩こり(頚椎症・頚椎椎間板ヘルニア・巻き肩・ストレートネック)膝痛・腱鞘炎など症状・お悩みの個別ページに飛ぶことができます。
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