ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
最終更新日 2026年6月20日
階段を上るときは何ともないのに、下りるときだけ膝に痛みや違和感が出る。そんな経験はありませんか。「上りは平気なのになぜ下りだけ?」と首をかしげながらも、忙しい毎日の中でそのまま放置してしまっている方は少なくありません。あるいは整形外科を受診したものの「異常なし」と言われ、それでも痛みは続いている……そんなもどかしさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
痛みがあるのに「異常なし」と言われると、まるで自分の感覚を否定されたような気持ちになることもありますよね。でも安心してください。その痛みはけっして気のせいではありません。レントゲンに映らない筋力の低下や関節の動きのクセが、膝への負担を静かに積み重ねていることが多いのです。
実はこの「下りだけ痛い」という症状には、明確なメカニズムがあります。筋肉の使い方・関節の状態・日常の動作パターン、この三つが複合的に絡み合って膝への負担を生み出しているのです。特に40代・50代以降の女性に多く見られ、「湿布を貼っても根本的に改善しない」「階段のたびに膝をかばってしまう」という声をよく耳にします。
私は整体師兼パーソナルトレーナーとして20年以上、のべ4万件以上の施術経験を積んできました。関節の動きを整える整体の視点と、筋肉を鍛えるトレーニングの視点、この両方を持っているからこそ見えてくる原因と解決策があります。
この記事では、そのメカニズムから今日できるセルフケアまで、できる限りわかりやすくお伝えします。階段のたびに膝が気になっている方に、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
なぜ「下りるとき」だけ膝が痛くなるのか?

「上りはスイスイ、下りになった瞬間にズキッとする」という訴えは、整体院でも非常によく耳にします。同じ階段なのに方向が変わるだけでなぜ痛みが出るのか、不思議に思う方は多いでしょう。
答えは筋肉の収縮方法の違いにあります。筋肉の収縮にはコンセントリック収縮(求心性収縮)とエキセントリック収縮(遠心性収縮)の二種類があります。上るときは筋肉が縮みながら力を出すコンセントリック収縮が主体です。一方、下りるときは筋肉が伸びながらブレーキをかけるエキセントリック収縮が主体となります。
エキセントリック収縮は力学的に強い力を発揮する一方、筋肉・腱・関節への負荷がより大きくなります。山登りで下山後の方が筋肉痛がひどくなるのも同じ理由です。つまり「下りるときだけ痛い」という症状は、この収縮様式の違いが膝に余分なストレスをかけている証拠と言えます。
上りと下りで使う筋肉はまったく違う

階段を上るときは、足を踏み出して体を持ち上げる動作が中心になります。ここで主に使われる筋肉は、もも裏のハムストリングスとお尻の大臀筋です。
これらの筋肉は比較的大きく、強い力を発揮しやすい特徴があります。
一方、階段を下りるときは重力に抗いながらゆっくり体を下ろす動作が必要になります。このとき主に使われるのが、もも前の大腿四頭筋です。大腿四頭筋は膝の曲がりにブレーキをかけながら体重を支えるという、非常に負荷の大きい役割を担います。
普通に歩くだけでも膝関節には体重の1.5〜2倍の力がかかりますが、階段の昇降になると2〜3倍の負荷になると言われています。
その負荷を下りるたびに大腿四頭筋が一手に受け止めているわけですから、この筋肉が弱っていれば膝への直接的なダメージが増すのは当然のことです。
加齢で真っ先に落ちるのが大腿四頭筋

筋肉は30歳を過ぎると少しずつ減少し始め、30歳から80歳の50年間でおおよそ半分になると言われています。この筋肉の減少(サルコペニア)は体全体で起きますが、特に顕著に落ちやすいのがもも前の大腿四頭筋です。
対してもも裏のハムストリングスは同じ期間でもおよそ3分の2程度を保つとされています。
つまり加齢とともに「上りに使う筋肉」より「下りに使う筋肉」の方が早く・大きく落ちていく構造になっています。これが中高年以降に階段の下りで膝痛が出やすくなる、大きな理由の一つです。
40代・50代で「最近階段がつらい」と感じ始めた方は、大腿四頭筋の筋力低下がすでに始まっているサインかもしれません。
軟骨は痛みを感じない!見えない危険

膝の関節には軟骨がクッションとして存在しています。加齢とともにこの軟骨がすり減ることは広く知られています。しかし重要な落とし穴があります。軟骨という組織には神経も血管も通っていません。そのため軟骨自体がどれだけすり減っても、直接的な痛みは生じないのです。
痛みが現れるのは軟骨がほとんどなくなり、骨と骨が直接こすれ合うようになった段階、すなわち変形性膝関節症が進行してからです。言い換えれば「まだ大して痛くないから大丈夫」は危険な思い込みになり得ます。
国内の疫学研究によると、40歳以上の変形性膝関節症有病率は男性約42%・女性約62%に及ぶとされ、日本全体の推定患者数は2,500万人以上と報告されています。さらにそのうち自覚症状がある人は800万人程度に過ぎず、残りの方は痛みのない潜在患者と考えられています。
階段の下りで違和感を覚えているあなたも、精密検査を受けていなければ、すでに軟骨のすり減りが始まっている可能性を否定できません。
女性は特に注意!骨盤構造と女性ホルモンの影響

変形性膝関節症は女性に多い疾患として知られています。WHOのデータによると、変形性関節症患者の約60%が女性であり、世界全体で3億6,500万人が罹患しています。
なぜ女性に多いのかには複数の理由があります。一つは閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、骨や軟骨の組織が変性しやすくなるためです。
二つ目は骨盤の構造的な違いです。女性は男性に比べて骨盤が横に広く、その分、太ももから膝にかけての角度(Q角)が大きくなります。このため膝が内側に入りやすく(X脚・ニーイン)、膝関節への横方向の負荷が増しやすい構造になっています。
階段を下りるたびにこの内側への力が加わり続けると、膝の内側の軟骨や靭帯に偏ったストレスがかかります。これが女性の膝痛が中高年以降に急増する背景の一つです。
膝の「使い方」が痛みをつくっている

膝関節は曲げ伸ばし(屈曲・伸展)を主な動作とする関節で、股関節のように全方向へ自由に動く構造ではありません。そのため使い方のクセがあると、特定の部位に集中して摩耗が起きやすくなります。
特に多いのが「膝とつま先の向きがズレる」問題です。歩行や階段動作のたびに膝がつま先よりも内側を向いてしまう(ニーイン・トーアウト)状態は、膝の内側の靭帯や軟骨に繰り返しのストレスをかけます。
これは骨盤の広い女性だけの問題ではありません。長年のデスクワークで股関節の可動域が低下した方や、足首の柔軟性が乏しい方にも同様の問題が起きやすいです。
下りるときの膝痛が気になる方は、まず鏡の前で「つま先と膝が同じ方向を向いているか」を確認してみてください。
50代主婦の症例!整体とトレーニングの組み合わせで改善

新百合ヶ丘にお住まいの50代女性の事例をご紹介します。整形外科から転院されてきたとき、すでに膝に違和感と軽い痛みがある状態でした。「膝の痛み 整体」で検索して当院にたどり着かれたとのことです。
運動経験はほとんどなく、やや体重過多で筋肉量も少ない印象でした。まず足関節・膝関節・股関節の三つの関節の可動域を整体で調整したところ、初回施術後に痛みが半減しました。
しかし関節の可動域を整えるだけでは、加齢とともに進行する筋力低下には対応できません。このままでは年を追うごとに膝への負担が増す一方であることが予測されたため、整体と並行してトレーニングをお勧めしました。
クォータースクワットが変えた3ヶ月

私がこの方にお勧めしたのは「クォータースクワット」です。一般によく知られるハーフスクワット(膝を約90度まで曲げる)のさらに半分、膝の曲げを約45度以内に抑えた浅いスクワットです。
膝に痛みのある方が深いスクワットを行うと、かえって膝関節への負荷が大きくなります。クォータースクワットは関節への負担が少ない角度で大腿四頭筋を鍛えることができるため、変形性膝関節症の方や膝痛のある方に適したエクササイズです。
実際、関節内炎症の軽減と筋力向上を同時にねらった浅い角度のスクワットが、2年間の追跡試験で痛みの改善・可動域の回復・膝の安定性向上に有意な効果を示したという報告もあります。
この方には毎日10分の筋トレを習慣化していただき、2〜3日に1回はクォータースクワットを取り入れるようにお伝えしました。
3ヶ月後に得られた三つの変化

週1回の整体ご来院とクォータースクワットを続けて3ヶ月後、膝の違和感はほぼ消失し再発もないとのご報告をいただきました。さらにこの方には三つの嬉しい変化がありました。
一つ目は筋肉量の増加です。3ヶ月前と比較して筋肉量が測定で増えていました。二つ目は食欲の抑制です。スクワットなど下半身の大きな筋肉を動かす運動は代謝を高め、思いがけずダイエット効果も得られたとのことでした。三つ目は体の使い方の改善です。
以前はX脚気味に膝が内側に入った歩き方でしたが、スクワットを続ける中で正しい立ち方・座り方が自然と身についてきたと感じていただけました。
整体単体でもトレーニング単体でも得られなかった変化が、組み合わせることで生まれた好例です。
自分でできるセルフケア——今日から始める三つのアプローチ

専門家への相談と並行して、日常でできるセルフケアをお伝えします。
・クォータースクワット(1日20〜30回・2〜3日に1回)
壁やイスの背もたれに軽く触れながら行うと安全です。つま先と膝の向きを揃え、膝が内側に入らないよう意識してください。痛みが出る角度まで曲げる必要はありません。
・足首・股関節のストレッチ(毎日)
膝痛の原因が膝だけにないことは前述の通りです。アキレス腱のストレッチ・股関節の前面を伸ばすストレッチを組み合わせることで、膝への負担が分散されます。
・歩行時の膝とつま先の方向確認(意識改善)
階段を下りるとき、意識的に膝をつま先と同じ方向に向けるだけでも負荷の集中が緩和されます。最初は意識的に行い、徐々に無意識でできるよう習慣化していきましょう。
こんな症状があれば早めに専門家へ

以下のような症状がある場合は、セルフケアにとどまらず、整形外科や整体・理学療法士への相談をお勧めします。
・安静にしていても膝が痛む
・膝が腫れている・熱を持っている
・膝がガクッと抜ける感じがある
・階段の下りがほぼ毎回痛い
・痛みが2週間以上続いている
これらは軟骨の損傷や半月板の問題、靭帯損傷など、より専門的な評価と対処が必要な状態のサインである可能性があります。痛みを我慢して使い続けると症状が進行するリスクがあるため、早めの対応が大切です。
まとめ 下り膝痛は「三つの問題」への対処で改善できる

階段を下りるときだけ膝が痛くなる原因は、大腿四頭筋の筋力低下・膝関節の軟骨消耗・膝とつま先の向きのズレ、この三つに集約されます。軟骨には神経が通っていないため、すり減っていても痛みを感じにくく、気づいたときには変形性膝関節症が進行しているケースも少なくありません。改善のカギは、この三つに同時にアプローチすることです。
階段の下り膝痛を改善する3つのアプローチ
- 整体で足関節・膝関節・股関節の動きを整え、関節全体のバランスを回復させる
- クォータースクワットで大腿四頭筋を無理なく鍛え、下りのブレーキ機能を取り戻す
- 日常の歩き方・下り方を少しずつ修正し、膝とつま先の向きを揃える習慣をつける
「下りるたびに膝が気になる」と感じている方は、まず今日からつま先と膝の向きを意識することと、浅いスクワットを取り入れることの二つを始めてみてください。早めの気づきと行動が、長く健やかに階段を使い続けるための一番の近道です。
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