ゴルフ肘の運動連鎖改善法!整体師兼トレーナーが解説する総合ケア

ゴルフ肘の運動連鎖改善法!整体師兼トレーナーが解説する総合ケア

ゴルフ肘(内側上顆炎)とは?

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大

川崎市登戸・向ヶ丘遊園の「ねもと整体&ストレッチスタジオ」院長 根本大。20年の臨床経験を持つ関節ニュートラル整体の施術者。健康運動指導士・米国ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。整体技術と運動指導の両面からのサポートしており、長年の経験をお伝えしています。

ゴルフ肘は、正式には「上腕骨内側上顆炎」と呼ばれ、肘の内側(小指側)に痛みが発症する疾患です。前腕屈筋群(手首や指を曲げる筋肉)の過度な使用により、これらの筋肉が上腕骨内側上顆に付着する部分で炎症が起こります。

ゴルフのスイング動作が代表的な原因ですが、その部分にストレスが加わることで発症するため、重い物を持ち上げる作業や繰り返し動作を行う職業の方にも見られます。

関節への負担を理解する重要性

ゴルフクラブを構える女性の肩に手を添え、スイング動作を指導する男性トレーナー。女性は真剣な表情で動作に集中しており、トレーナーは丁寧にフォームを確認している様子が描かれている。

整体師とパーソナルトレーナーの両方を行っている私の経験から、まず理解していただきたいのは、肘の関節は筋肉をつけることに限界があるということです。反復動作(repetitive motion)により筋肉は鍛えられても、関節自体の耐久性には限界があります。
そのため、既にゴルフ肘を発症している方は、まず負担を減らすことを念頭に置いてください。重い物を持ち上げたり、繰り返し動作を行っていた方は、その動作自体を減らしていく意識が必要です。

従来の練習方法からの脱却
野球やゴルフのようなスイング動作で痛みが発症している方も同じ考えで、競技練習だけではなく、コンディショニングや筋力強化も含めた練習+トレーニングという概念が必要です。
昔のように「1000本振れば上手くなる」という練習方法では、どうしてもゴルフ肘のようなスポーツ障害(sports injury)を発症しやすくなります。そのため、競技練習だけでなく、体重移動や可動域(range of motion)を広げることで、全身をしなやかに使えることが重要だと考えています。

下半身の可動域との関係
意外にも、ゴルフ肘になりやすい方は下半身の柔軟性が乏しく、代償動作(compensatory movement)により肘に炎症が起こしている方も多く見てきました。
この問題に関しては、当然ながら肘だけの施術では対応できず、下半身の可動域を広げたり、全体のボディーコントロールが上手くならないと肘への負担は減少しません

動作分析と修正の重要性

オレンジのシャツを着た女性が、前腕屈筋群のストレッチを実施している様子。右腕を前に伸ばし、左手で右手の指先を下方向に引いて手首を曲げ、前腕の内側を伸ばしている。赤い矢印が手首の曲げ方向を示している。

動作分析(movement analysis)や修正という観点では、整体師の考えだけでは対応が困難です。実際に可動域を広げたり、体の連動性(kinetic chain)を高めるということは、体を動かしながら動作修正していく必要があるからです。

最近では医師や治療家でもトレーニングの知見がある方も増えてきましたが、どちらかというと治療家の先生はスタティック(静的)な状態での施術が多いことから、**全体的な動作の改善(dynamic movement correction)**も含めて対応する必要があると考えた方が良いでしょう。

ゴルフ肘予防のためのセルフケア
手首と肘の連動性を高める
手首の動作には、テニス肘と同様に**前後の動き(屈曲・伸展)と左右のひねり(回内・回外)**があります。この動きを手首と肘で連動して考えることで、肘への負担軽減のイメージが捉えやすくなります。
手首と肘を両方ストレッチするような感覚で行ってみてください。前後の手首の動きとひねる回内・回外動作を両方高めることで、**指先から肘、肩までの運動連鎖(kinetic chain)**が高まります。

代償動作の理解
逆に言うと、この動きのどこかの関節可動域が制限されると、代償動作として中間地点にある肘の負担が強くなります。肘だけでどうにかしようとするのは、このような運動学的観点からナンセンスです。

保存的対応とセルフケア:炎症期から回復期まで

具体的なストレッチ方法:痛みから解放される3つのアプローチ
多くのゴルフ愛好者が悩まされるゴルフ肘の痛み。その解決の鍵は、前腕の筋肉群を丁寧にケアすることにあります。私が日々の臨床で実践している効果的なストレッチ方法をご紹介します。

前腕屈筋群のストレッチ:痛みの根源にアプローチ
手のひらを上に向け、反対の手で指先を後ろに引くこの動作は、まさにゴルフ肘の原因となる筋肉群を直接的にアプローチします。肘の内側から前腕にかけての伸張感を感じることで、浅指屈筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋といった主要な筋肉を効果的にリリースできます。

痛みを感じる部位にじんわりと効いている感覚があれば、それは筋肉が本来の柔軟性を取り戻そうとしている証拠です。20-30秒のキープを3セット、毎日継続することで、確実に変化を実感できるでしょう。

前腕伸筋群のストレッチ:バランスを整える重要なケア
手の甲を上に向け、反対の手で手首を下方向に曲げるこの動作は、前腕の外側の筋肉を伸ばすことで、屈筋群との筋バランスを整えます。長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋のバランスが改善されることで、肘関節の安定性が向上し、痛みの再発防止につながります。

多くの方が屈筋群のケアに集中しがちですが、拮抗筋である伸筋群のケアも同様に重要です。この地道なケアが、長期的な痛みの解消と競技パフォーマンスの向上をもたらします。

回内・回外運動:深層筋群への働きかけ
肘を90度に曲げ、手のひらを上下に返す動作を繰り返すこの動作により、前腕の深層筋群の柔軟性を高めることができます。回内筋(円回内筋、方形回内筋)と回外筋(回外筋、上腕二頭筋)の協調性が改善されることで、前腕の回旋動作がスムーズになり、スイング動作での肘への負担が大幅に軽減されます。

この運動は、表面的な筋肉だけでなく、深部の筋肉まで働きかけるため、根本的な改善が期待できます。ゆっくりと丁寧に行うことで、筋肉の質的な変化を促進できるでしょう。

神経モビライゼーション:神経系からのアプローチ
痛みの原因は筋肉だけではありません。尺骨神経の滑走性改善も重要な要素です。肘を伸ばし、小指側に手首を曲げながら首を反対側に倒すことで、神経の癒着や圧迫を改善し、痛みの軽減効果が期待できます。

この神経系へのアプローチは、従来の筋肉へのアプローチだけでは改善しなかった頑固な痛みにも効果的です。

保存的対応とセルフケア:炎症期から回復期まで

温冷療法を実践する2人の人物。左側の女性が肘にアイスパックを当てて冷却中、右側の女性が蒸しタオルを肘に当てて温めている。どちらも自宅でのセルフケアを示す優しいタッチのイラスト。

温冷療法:自宅でできる本格的なケア
痛みとの向き合い方を変える、それが温冷療法の力です。保存的治療として、冷却療法(アイシング)や温熱療法の使い分けは、まさに治療の要となります。急性期には冷却が基本ですが、予防的な観点から言うと、肘は自分でかなりケアできる部位でもあります。

この事実は、多くのゴルフ愛好者にとって希望の光となるでしょう。高額な治療費を心配することなく、日常生活の中で確実に症状を改善できる方法があるのです。

急性期(炎症期)での冷却療法は、まさに炎症との戦いの最前線です。15-20分のアイシングを行うことで、血管収縮により炎症反応を抑制し、痛みを和らげることができます。この時期は「冷やすことで守る」という考え方が重要です。氷嚢や冷却パックを患部に当てながら、「今、組織が回復しようとしている」と感じることで、前向きな気持ちでケアに取り組めるでしょう。
慢性期に移行したら、温熱療法で血行促進を図ります。温かいタオルや入浴により、血流が改善され、組織の修復が促進されます。この段階では「温めることで癒す」というアプローチに変わります。温かさが患部に浸透していく感覚は、まさに治癒力が蘇る瞬間です。

予防期における温冷交代浴は、組織の回復力向上という長期的な視点に立った最も効果的な方法です。冷たい水と温かい水を交互に使うことで、血管の収縮と拡張を繰り返し、血流のポンプ作用を強化します。この「生きた血管トレーニング」により、組織の代謝が活発になり、再発防止の土台が築かれます。

毎日のケアが積み重なることで、必ず変化は訪れます。自分の手で痛みをコントロールできるという実感は、治療への意欲を高め、結果として早期回復につながるのです。

あなたの肘を変える:痛みのない未来への道筋

ゴルフスイングの練習中、肩と肘に意識を向ける男性。背景には芝生のフィールド。全身を連動させたしなやかなフォームでスイングの準備をしている様子が描かれている。

ゴルフ肘との戦いは、単なる肘の治療を超えた人生の質の向上への挑戦です。私が整体師兼パーソナルトレーナーとして多くの方々と向き合ってきた経験から確信を持って言えることがあります。

真の改善は、局所的な治療だけでは決して達成できません。
ゴルフ肘の予防と改善には、全身の運動連鎖を考慮したアプローチが不可欠です。あなたの体は一つの精密な機械のように連動しています。特に下半身の柔軟性向上と、手首から肩にかけての連動性を高めることで、肘への負担を大幅に軽減できるのです。
この事実に気づいた瞬間、多くの方が「なぜ今まで肘だけを治そうとしていたのか」と驚かれます。

足首の硬さが膝に影響し、膝の動きが股関節に波及し、最終的に肘の痛みとして現れる。この連鎖を断ち切ることで、根本的な解決が可能になります。

従来の「とにかく練習量を増やす」という発想から脱却する勇気を持ってください。
単なる競技練習だけでなく、コンディショニングとトレーニングを組み合わせた総合的なアプローチにより、ゴルフ肘の予防と競技パフォーマンスの向上を両立させることが可能です。これは矛盾するように聞こえるかもしれませんが、実は最も効率的な上達への道なのです。

体の痛みから解放されたとき、あなたは本当の意味でゴルフを楽しめるようになります。スイングに集中でき、思い切りクラブを振ることができる。そして何より、ゴルフが人生の負担ではなく、真の喜びとなる瞬間を迎えられるでしょう。

この記事でお伝えした知識と技術を実践することで、あなたのゴルフライフは確実に変わります。痛みのない、充実したゴルフライフを手に入れる準備はできていますか?

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