ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
最終更新日 2026年6月2日
腱板損傷の原因・対処法・予防を整体師が解説

神奈川県川崎市登戸の「ねもと整体&ストレッチスタジオ」院長の根本です。
昨日まで普通に投げていたのに、今日は腕が上がらない」「肩が痛くて全力のスイングができない」そんな経験をされているスポーツ選手は少なくありません。
長年、肩の痛みを抱える方の施術に携わってきた整体師として、この記事ではスポーツによる肩のトラブルの原因と対処法を正直にお伝えします。
なぜ肩が上がらなくなるのか、どこで診てもらえばいいのか?、そして肩を守るためにできることは何かを、医学的なエビデンスも含めてわかりやすく解説します。
スポーツで肩が上がらなくなる根本原因

スポーツによる肩のトラブルで最も多いのが、腱板(けんばん)の損傷です。腱板とは、肩関節を包み込むように走る4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の腱の集合体で、腕を上げる・回す・投げるすべての動作に関わっています。 この腱板が繰り返しの動作によって少しずつダメージを受けていくのが「オーバーユース(使いすぎ)」による損傷です。完全断裂ではなくても、筋肉に細かな穴が開いたり、慢性的な炎症が続いたりした状態が長引くと、ある日突然「腕が上がらない」という状態に陥ることがあります。 実際に腱板を痛めた方から「まるでボロ雑巾に穴が空いているようだった」とお聞きしたことがあります。この言葉が、腱板損傷の深刻さをよく物語っています。 海外の研究によると、オーバーヘッド動作を繰り返すスポーツ選手における腱板損傷は非常に一般的であり、特に投球系・水泳・テニスなどのアスリートは長年にわたる肩への負荷によって腱板に大きなストレスがかかることが示されています。
野球をはじめ肩を痛めやすいスポーツとは?

腱板損傷は野球だけの問題ではありません。腕を繰り返し大きく動かすスポーツ全般でリスクがあります。 ・野球(特に投手・捕手):投球動作による繰り返しの負荷・水泳:クロールや蝶泳など肩を酷使するストロークの連続・テニス:サーブやスマッシュなど頭上での強い動作・ボクシング:特にフックのような横回転を伴うパンチの繰り返し・バレーボール:スパイク動作での肩関節への集中的な負担 現在、小学生の野球でも投球数の制限が設けられています。これは統計的に、幼いうちから同じ投球動作を過度に繰り返すと筋肉が損傷し、長くその競技を続けられなくなることがわかってきたためです。それでも高校野球では、県大会レベルでもピッチャーが少ないチームでは1試合で100球を超える登板が続くケースがあります。こうした現場の実態が、選手の肩を少しずつ傷めていきます。 プロのオーバーヘッドアスリートでは、手術後の競技復帰率は約40%にとどまるという研究報告もあります。メジャーリーガーでさえ、肘の手術と比べて肩の腱板を痛めると復帰が格段に難しくなるといわれており、それほど肩の損傷は深刻です。
医学的に見た腱板損傷のメカニズム

腱板の中でも特に損傷を受けやすいのが、棘下筋(きょっかきん)の腱です。投球動作の「リリース後の減速フェーズ(フォロースルー)」において、棘下筋は腕の勢いを止めようとして強い遠心性収縮(エキセントリック収縮)を行います。この瞬間、腱にかかる負荷は非常に大きく、繰り返されることで少しずつ損傷が蓄積していきます。 また、肩関節は「解剖学的に不安定な関節」とも言われています。球関節のひとつで、肩甲骨の浅い窪みに上腕骨の丸い骨頭が収まるような構造をしており、可動域が非常に広い代わりに骨による支持が少なく、筋肉と腱板でバランスを取ることが求められます。この構造上の特性が、腱板への負担を生み出しやすい原因のひとつです。 さらに研究では、肩関節の回旋運動域の低下や体幹・下肢から上肢へのエネルギー伝達の非効率さが、肩や肘の受傷リスクを高めることが示されています。
肩の痛みを感じたら・・・まず整形外科でMRI検査を

肩の痛みや腕の上がりにくさを感じたら、まず医療機関を受診することをおすすめします。 街の整形外科ではレントゲン検査が一般的ですが、レントゲンで映るのは骨だけです。腱板などの軟部組織の損傷はMRI検査でなければ正確に確認できません。整形外科を受診した際には、医師に積極的に状態を伝え「精密検査を受けたい」という意思を伝えることが大切です。「MRIで詳しく見ていただくことはできますか?」と率直に相談することで、より正確な診断につながります。 原因を正確に把握することが、その後の回復戦略を立てるうえで最も重要なステップです。腱板損傷の程度(炎症・部分断裂・完全断裂)によって対処法がまったく異なるため、まず「今どういう状態なのか」を知ることが先決です。
整体でできること・できないこと

整体師として正直にお伝えしたいのは、整体にはできることとできないことがあるということです。 整体でできることは、肩関節や肩甲骨まわりの可動域を広げ、動作をスムーズにすることです。また、全身のバランスを整えることで肩への余分な負担を減らすことも可能です。医療機関での治療と並行して整体を受けていただくことで、肩の負担を軽減しながら回復をサポートすることは十分にできます。 一方で、すでに腱板に損傷が生じている場合、整体の施術だけでは思うように反応が出ないケースもあります。当院では、そのような場合に患者さんを囲い込もうとするのではなく、まず医療機関での検査を優先するようにお伝えしています。痛みの改善には、原因をきちんと特定し、それに対した戦略を立てることが何より大切だと考えているからです。
大谷選手から学ぶ|下半身の体重移動が肩を守る

以前、あるトレーナーのカンファレンスで大谷翔平選手を指導していたトレーナーの方が講演をされていました。その中で大谷選手の映像を使いながら、サイドランジなどの下半身トレーニングの重要性を説かれていました。大谷選手は肘を2回手術していますが、肩の腱板損傷という重大なトラブルは起きていません。その背景に、優秀なトレーナーによる下半身強化トレーニングの積み重ねがあるのではないかと感じました。 NHKでも別のトレーナーの方が出演され、ピッチングとバッティングの体重移動の本質は同じであるとお話しされていました。大谷選手も早くからサイドランジを取り入れていたそうです。 スクワットが上下の動きであるのに対し、サイドランジは右から左・左から右という横方向への体重移動を鍛えます。下半身を安定させながらスムーズな体重移動ができると、腕への負担が大幅に減ります。投球やスイングの力が下半身から体幹を通じて腕へと伝わるようになるためです。 これは感覚論ではなく、研究によっても裏付けられています。投球動作はキネティックチェーン(運動連鎖)であり、下肢・体幹で生み出した力がボールへと伝わる過程で肩・肘にかかる負荷が決まります。下半身や体幹のエネルギー伝達が非効率になると、その分だけ肩・肘で補おうとして負傷リスクが高まることが複数の研究で示されています。
視点を変える!肩の痛みは下半身から解決する

肩が痛くなったとき、多くの選手は「肩をどうにかしなければ」と考えます。しかし、そこで視点を変えることが大切です。 人体の筋肉の約7割は下半身に集中しています。その7割の能力を高めることが、結果的に肩の負担を減らし、パフォーマンスの向上にもつながります。怪我のリスクを減らしながらパフォーマンスも上がるというのは、トレーニングの考え方として非常に理にかなっています。 「練習を繰り返せば強くなる」という考え方だけでは、この発想はなかなか生まれません。競技の指導者に加えて、トレーナー的な視点を持ったコーチの存在が現代スポーツには不可欠だと感じています。長くスポーツを続けるために、ぜひ「身体全体を使う」という視点を持っていただければと思います。
【まとめ】

肩が上がらなくなる、腕に力が入らない、投げるたびに痛みが走る。こうした症状は、多くの場合「使いすぎのサイン」を長い間見逃してきた結果として現れます。練習の翌日に肩の重だるさが抜けない、腕を後ろに回すと引っかかる感じがする、フォームが崩れてきた気がする。こういった小さな変化が、腱板へのダメージが蓄積しているサインかもしれません。
肩の痛みへの正しいアプローチ
- 痛みをこらえ続けると、腱板の損傷が日常生活に支障をきたすレベルに発展することがある
- 症状が出てからではなく、体が発するサインに早めに気づくことが大切
- 整形外科でのMRI検査で原因を特定することを最優先にする
- 原因が不明なまま施術や練習を続けることが、回復を最も遅らせるリスクになる
- 下半身・体幹の安定性を整えることが、肩への負荷を根本から減らす鍵になる
原因が分かれば、医療・整体・トレーニングをどう組み合わせて回復を進めるかという戦略が立てられます。肩の痛みで悩まれている方が、この記事をきっかけに「受診する」「フォームを見直す」「トレーニングの考え方を変える」という一歩を踏み出していただければ幸いです。
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