ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
最終更新日 2026年7月12日
ランニング中にストライドが伸びず、スピードを上げようとしても足が思うように前に出ない、そんな感覚を抱えているランナーは少なくありません。原因を筋肉の硬さだけだと考えて、お尻の後ろにテニスボールを当ててコロコロとほぐしても、思うように変化が出ないケースもあります。
フォームを見直しても、走り込みを重ねても、なぜかストライドだけが伸びていかない。そんなもどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。実はストライドが開かない背景には、股関節そのものの動きの制限が関係していることが多くあります。
この記事では、股関節が開かない原因をランニング動作の視点から解説し、寝る前にできるセルフケアや専門家に相談すべき目安まで、20年にわたり延べ4万件以上のランナーを施術してきた臨床経験を交えてお伝えします。
ストライドが伸びない、股関節が開かないランナーの悩み

ランニングにおいて股関節の動きは、走るスピードそのものに直結します。股関節が固いとストライドが十分に広がらず、いくらスピードを上げようとしてもストライドが伸びていかない感覚を持つ方が多くいます。柔軟性が不足した状態で走るのは、ジーパンを履いて走っているようなもので、脚の動きに余計な抵抗がかかっている状態です。
ここで注意したいのが、股関節の開閉というと横方向の開脚をイメージされる方が多いという点です。しかしランニング動作で重要なのは、体の真横から見たときの前後の動き、つまり矢状面上での屈曲と伸展の可動域です。矢状面とは、体を正面から見たときに左右を分けるように前後に走る面のことで、股関節の屈曲は脚を前に振り出す動き、伸展は脚を後ろに蹴り出す動きを指します。
足を後ろに振り出す動きと、前に振り出す動きがスムーズに大きく行えるかどうかで、ランニングの成否が変わってきます。横の開脚のストレッチばかりを行っていても、走りに必要な前後方向の動きが改善しないというのは、こうした理由によるものです。
股関節が開かない原因、筋肉だけでなく関節自体の制限

股関節が動かない要因として、多くの方がまず疑うのは筋肉の硬さです。お尻の後ろにテニスボールを当ててコロコロと転がすようなセルフコンディショニングも広く行われています。しかし臨床の現場で数多くのランナーを診てきた経験から言うと、筋肉の硬さだけが原因ではなく、関節自体に引っかかりが生じているケースが少なくありません。
股関節はそもそも、前後に動く屈曲と伸展、横に開閉する外転と内転、あぐらのように開く外旋と、内股のように閉じる内旋という、合計6方向の動きを持つ関節です。
ランニング動作の中心は屈曲と伸展という縦方向の動きですが、股関節の可動性を根本から改善するためには、この6方向すべてをチェックし整えることが欠かせません。縦方向の動きが中心のランニングであっても、関節の全方向で摩擦がなくなることで関節自体の動きがなめらかになり、結果として走るという動作全体がスムーズになるからです。
実際に、ランニング障害を経験したランナーとそうでないランナーの股関節可動域を比較した研究では、障害を経験したグループは可動域が明らかに狭いことが報告されています。
近年はランニング専門のトレーナーが帯同し、ストレッチ指導を行うケースも増えています。その際も、屈曲伸展だけでなく内旋外旋まで含めて評価することが、股関節の動きを根本から改善するポイントになります。
寝る前にできるセルフケアと、速く走るためのメカニズム

ランニングの速度は、ピッチとストライドの掛け算で決まるといわれています。スピードが乗っている局面では自然とストライドが開き、逆に加速局面や減速局面では足をコンパクトに使い回転数を上げるピッチ寄りの走りになります。100メートル走のスタート直後はストライドが狭くピッチが速い状態から始まり、スピードが乗るにつれてストライドが伸び、その長さを維持できるかどうかが長距離走のパフォーマンスにも関わってきます。
このストライドを支える要素のひとつが、腿の裏側にあるハムストリングスの柔軟性です。長年ランナーの施術を行ってきた経験から言うと、前屈が苦手でハムストリングスの柔軟性が一般の方より低いランナーは意外と多くいます。関節と筋肉はまったく別の要素で、股関節自体の動きは良くても筋肉が硬いというケースも珍しくありません。
関節の動きの悪さは自分で調整するのが難しい一方、筋肉についてはストレッチや筋力トレーニングによってモビリティを高めることが可能です。ハムストリングスの柔軟性と競技パフォーマンスの関係を調べた研究では、柔軟性が大腿四頭筋の筋力と関連することが示されています。
足を引き上げる腸腰筋

もうひとつ重要なのが、足をしっかり引き上げる働きを持つ腸腰筋です。腸腰筋は大腰筋と腸骨筋の総称で、この筋肉がうまく働かないと足を上げ切れず、ストライドにも影響します。
骨盤が前傾し臀部から前面の筋肉が発達しやすい体格的な特徴を持つ選手もいますが、同じような特徴がなくても、走る動作に必要な筋肉を理解しトレーニングで強化することは可能です。腸腰筋の筋力とスプリント速度の関係を調べた研究では、腸腰筋の筋力が10パーセント向上すると最大走行速度が向上することが報告されています。
3種目を左右10回程度ずつ行うだけでも効果が高い

ランニング前には、股関節の前後の可動域を広げる動的ストレッチと、腸腰筋を意識して膝を引き上げる基本的なドリルを、15分程度を目安に行うと、関節の動きが回復しやすくなります。
具体的には、その場で膝を胸に引き上げるニーアップドリル、脚を前後に大きく振るレッグスイング、股関節を前後に開いた姿勢から重心を沈めるフロントランジの3種目を、それぞれ左右10回程度ずつ行うだけでも十分です。
動的ストレッチは反動を使いながら関節を大きく動かすストレッチのことで、静止した状態で伸ばす静的ストレッチとは異なり、体温を上げながら可動域を広げられるため、就寝前だけでなくランニング前のウォームアップとしても活用できます。
毎日の積み重ねが、走りのスムーズさとして表れてきます。
宿河原在住 高校陸上部 股関節アプローチ事例

セルフケアで変化が乏しい場合や、股関節の動きに左右差を感じる場合、痛みを伴う場合は、自己判断で無理に動かし続けず専門家に相談することをおすすめします。
以前、宿河原にお住まいの高校陸上部の生徒さんが、競技能力を上げたいという目的で当院にご来院されたことがあります。最初はぎっくり腰のような急な腰の痛みがきっかけでしたが、痛みが落ち着いたところで、保護者の方から股関節の動きを良くしたいというご相談をいただき、パーソナルトレーニングに切り替えました。
動的ストレッチを行っているか確認したところ、部活動の中では十分なノウハウが伝えられていない様子でした。そこで15分程度で自分でも行える動的ストレッチのドリルを指導したところ、週に一度の来院のたびに動きが良くなり、走る感覚が変わってきたと喜んでいただきました。
3年次には競技成績も向上し、大学でも陸上を続けたいという希望から、走りに必要な柔軟性と筋力を補う種目もあわせてお伝えしています。こうした変化は、専門的な視点で関節と筋肉の両方を評価し、必要なドリルを継続することで生まれてきます。
【まとめ】

ストライドが伸びず、股関節が開かないと感じているランナーは、まず横の開脚と前後の動きを混同していないか見直してみてください。ランニングに必要なのは矢状面上の屈曲と伸展の可動域であり、それを妨げているのは筋肉の硬さだけでなく、関節自体の引っかかりであることが少なくありません。
ストライドを伸ばすために整えたい4つのポイント
- 股関節は6方向(屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋)に動く関節であり、縦方向以外の動きも合わせて整えることで関節全体の摩擦が減る
- ハムストリングスの柔軟性がストライドの前方への広がりを支える重要な要素になる
- 足を引き上げる腸腰筋の筋力も、スムーズな脚の運びに欠かせない
- 寝る前の動的ストレッチと基本的なドリルを15分程度継続すると、関節の動きは少しずつ回復していく
走りのスムーズさは、日々の小さな積み重ねの先に必ず現れてきます。ストライドが伸び悩んでいると感じたときこそ、股関節の動きに目を向けてみてください。
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