ねもと整体&ストレッチスタジオ根本院長。
整体技術と運動指導の両面からサポート!
肉離れを繰り返す最大の原因は、筋肉が完全に入れ替わる前に競技へ復帰してしまうことです。損傷した筋肉が新しい組織へ入れ替わるまでにはおよそ3か月かかり、この3か月の過ごし方こそが再発を防ぐ最大のポイントになります。本記事では、整体師・スポーツトレーナー・スピードトレーニングコーチという3つの視点から、肉離れを繰り返さないための体づくりと、痛みと上手に付き合いながら回復するための具体的な方法を解説します。
最終更新日2026年9月24日
肉離れを「繰り返す」「癖になる」と感じていませんか?
どこにでも起こりうる怪我

肉離れというのは、筋肉そのものが部分的に損傷する怪我です。太もも裏(ハムストリングス)やふくらはぎの腓腹筋が代表的ですが、腰の筋膜を痛めるいわゆるぎっくり腰的な症状も、広い意味では肉離れの一種と考えられます。
人間の体には無数の筋肉があり、それぞれの部位が強い伸張ストレスや急激な収縮にさらされる可能性がある以上、肉離れは特定の部位だけの問題ではなく、体のあらゆる場所で起こりうる怪我だと言えます。
一瞬の怪我が数ヶ月の空白を生む

肉離れの厄介なところは、発生そのものが一瞬で起こるという点です。昨日まで元気に走れていたのに、ダッシュの一歩、切り返しの一瞬、キックの瞬間に筋肉が損傷し、そこから数ヶ月、時には半年近く競技の練習ができなくなってしまうことがあります。
しかも、完全に筋線維が断裂していなくても、数ヶ月単位で違和感や痛みが続くケースは珍しくありません。「病院の検査では大きな損傷ではないと言われたのに、なかなか痛みが引かない」「治療は終わったはずなのに、また同じ場所を痛めてしまった」というご相談は非常に多く寄せられます。
再発への恐怖がフォームを崩す

一度肉離れを経験すると、多くの選手が再発への恐怖を抱えたまま競技に戻ります。その結果、無意識のうちに患部をかばう走り方やフォームになり、それが逆に体全体のバランスを崩して、反対側の脚や別の部位を新たに痛める原因になってしまうことも少なくありません。
全力で地面を踏み込めない、ラストスパートで急に力が抜けてしまう、といった違和感を抱えたまま競技を続けている選手も多いのが現状です。こうした「なんとなく怖い」「本気で走れない」という感覚こそ、体からの重要なサインだと捉える必要があります。
なぜ肉離れは繰り返すのか?整体師とトレーナーの視点から見た原因
筋肉が入れ替わるまで約3か月かかる

まず知っておいていただきたいのが、筋肉の組織が新しく入れ替わるまでにはおよそ3か月かかるという事実です。筋肉の損傷後は、壊れた組織が取り除かれる「破壊期」、新しい筋線維が作られていく「修復期」、そして組織が本来の強度を取り戻していく「リモデリング期」という段階を経て回復していきます。
海外の研究でも、この修復・リモデリングの過程は受傷後およそ6週目あたりから始まり、そこから数ヶ月にわたって続くことが報告されており、3か月という期間は決して大げさな数字ではありません。
逆に言えば、この3か月間をうまく体と付き合いながら過ごすことができれば、痛みは自然と回復に向かうということでもあります。ここで焦って練習を再開してしまうと、組織が十分に強度を取り戻す前に再び負荷がかかり、回復が長引いて6ヶ月以上かかってしまう可能性もあります。
水分不足が柔軟性と回復力を奪う

次に見落とされがちなのが水分不足です。筋肉の水分量が不足すると柔軟性が低下し、伸張ストレスに耐えられずに肉離れを起こしやすい状態になります。
海外の研究では、体重の1%が水分不足になるごとに、軟部組織の怪我のリスクが約11%上昇するという報告もあり、3%程度の脱水状態では怪我のリスクが数十%単位で高まる可能性が示されています。
水分補給は単なる熱中症対策ではなく、肉離れ予防そのものに直結する重要な要素だと言えます。
腸内環境と怪我のしやすさの意外な関係

腸内環境と怪我のしやすさにも関係があると言われています。排便量が減り腸内環境が乱れると、体に疲労が蓄積しやすくなり、大きな怪我が起きやすい状態になるとされています。
実際に、練習負荷の高い時期には選手の腸内細菌のバランスや便通の状態が変化するという研究も報告されており、パフォーマンスの土台となる体づくりにおいて、腸内環境を整えることの重要性が近年見直されています。
栄養をしっかり摂取しながら腸内環境を良好に保つことは、怪我をしにくい体づくりの一部として考える必要があります。
オフシーズンのトレーニング設計のズレ

そしてもう一つ、意外に見落とされがちなのがオフシーズンのトレーニング設計です。スクワットのような動作は、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)とハムストリングスを同時に収縮させるトレーニングです。
一方で、走るという動作は、腿を上げるときは前側の筋肉、下ろすときは後ろ側の筋肉というように、交互に筋肉を収縮させる動きになります。オフシーズンにスクワット中心の筋力トレーニングに偏ってしまうと、この交互収縮のパターンに体が慣れないまま、プレシーズンで急に走り込みが始まることになり、ハムストリングスの肉離れが起こりやすくなるといわれています。
これはスポーツコンディショニング研究の第一人者であり、国際武道大学で教授を務める山本利春氏も指摘している点です。
実際に海外の研究でも、ハムストリングスの遠心性(筋肉が伸びながら力を発揮する)筋力が低い選手ほど、肉離れのリスクが高まることが示されており、同時収縮のトレーニングだけに偏らないトレーニング設計の重要性が裏付けられています。
自分でできる肉離れの予防法・セルフケア
3か月をどう過ごすかが最大のカギ

肉離れの予防、そして再発防止を考える上で最も大切なのは、筋肉が入れ替わる3か月という期間を前提に体づくりを設計することです。
まず優先すべきは「治すこと」であり、その上で「競技練習以外にできることは何か」「パフォーマンスを落とさずにできることはないか」を常に考える姿勢が重要になります。この視点を持てるかどうかで、その後の競技人生における再発のしやすさが大きく変わってきます。
自転車トレーニングで心肺機能を守る

私がおすすめしているのが自転車を使ったトレーニングです。肉離れの程度によっては歩くのも痛く、走ることはもちろんできません。そうなると心肺機能が著しく低下し、これはあらゆる競技の選手にとって大きな痛手になります。
特にサッカーやバスケットボールのように走ることが中心の競技では、3か月走れない期間があると、復帰した瞬間に以前のような動きができなくなってしまいます。ここで役立つのが自転車です。走るという動作は体重が乗った状態で筋肉に高いインパクトの負荷がかかりますが、自転車のペダリングは体重がかからず、患部に負担をかけずに心拍数を上げることができます。
私自身もトレーニング中に肉離れのような怪我を経験した際、フィットネスクラブで高負荷に近い自転車トレーニングを行っても、その後に痛みが出なかった経験を何度もしています。
実例:中学生バスケットボール選手のケース

実際に、私立中学のバスケットボール部に所属する生徒が肉離れで来院された際のケースをご紹介します。部活を見学するだけの日々が続き、本人も焦りや不安を抱えていました。そこで保護者の方にもご協力いただき、練習時間を少し早く切り上げてもらった上で、スポーツセンターで自転車を使った心拍トレーニングを継続してもらいました。
その結果、3か月というタイミングで自然に痛みが引き、スムーズに競技へ復帰することができました。もし見学をしながら中途半端に体を動かしてごまかしていたら、回復はもっと長引いていたかもしれません。この事例は、患部を休ませながらも心肺機能を落とさないという発想がいかに重要かを物語っています。
水分補給のコツ

水分補給も忘れてはいけないポイントです。練習中は多くの汗をかいているため、15分に1回程度を目安に水分を補給しましょう。お茶やコーヒーなど利尿作用の強い飲み物ばかり摂っていると、せっかく摂取した水分が尿として体外に排出されてしまい、結果的に体に水分が残りにくくなります。
利尿作用の少ない水を中心に摂ることを、特に成長期の選手にはおすすめしています。
腸内環境を整える食事

腸内環境を整えることも、怪我をしにくい体づくりにつながります。日々の食事の中で、ごぼうや玉ねぎなど食物繊維の多い食材を意識的に摂ることに加えて、オリゴ糖などを取り入れて腸内環境の改善を図る選手も増えています。派手さはありませんが、こうした地道な栄養面のケアが、疲労を溜めにくい体をつくる土台になります。
オフシーズンのトレーニング設計を見直す

トレーニング設計の面では、スクワットのようなゆっくりとした同時収縮のトレーニングだけでなく、ラダートレーニングのように素早く筋肉を切り替える動きを組み合わせることをおすすめします。
ゆっくり動くトレーニングと素早く動くトレーニングの両方をバランスよく取り入れることで、走る動作特有の交互収縮のパターンに体を慣らすことができ、プレシーズンに走り始めた際の肉離れリスクを大きく減らすことにつながります。
こんな場合は専門家に相談を

セルフケアを続けても痛みが3か月という目安を大きく超えて改善しない場合や、走り方・フォームに明らかな左右差やかばい動作が出てしまっている場合は、専門家に相談することをおすすめします。
特に、同じ部位を繰り返し痛めてしまう方は、患部そのものだけでなく、股関節や骨盤、足首など周辺関節の可動域が制限されたままになっているケースが少なくありません。
全身の関節が本来持っている可動域を取り戻すことは、筋肉のケア以上に再発予防において重要になることもあります。焦って自己判断で練習に戻る前に、一度体の状態を専門的に確認してもらうことが、結果的に早い競技復帰への近道になります。
まとめ

肉離れを繰り返してしまう背景には、回復期間の見誤り・水分不足・腸内環境の乱れ・オフシーズンのトレーニング設計のズレといった、複数の要因が重なっています。患部そのものだけをケアするのではなく、体全体の使い方や日々の生活習慣まで含めて見直すことが、繰り返さない体づくりの土台になります。
今回のポイント
- 筋肉が入れ替わるまでにはおよそ3か月かかり、焦った競技復帰が再発の最大の原因になる
- 水分不足・腸内環境の乱れ・オフシーズンのトレーニング設計のズレも、見落とされがちな原因になる
- 自転車トレーニング・こまめな水分補給・腸内環境を整える食事など、患部以外でできるケアを続けることが回復を後押しする
- 3か月を大きく超えて痛みが改善しない、または左右差やかばい動作が出ている場合は、早めに専門家へ相談する
肉離れの再発を防ぐ鍵は、「治すこと」と「体づくり」を同時に進めることにあります。3か月という回復期間を正しく理解し、今日ご紹介したセルフケアをできる範囲から取り入れてみてください。同じ場所を繰り返し痛めてしまう場合は、関節の動きそのものに原因があることも少なくありません。
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