EMSは本当に効果あり?整体院が解説する筋トレの真実

EMSは本当に効果あり?整体院が解説する筋トレの真実

EMSより効果的!たった3000円で始める本格筋トレ法

EMSスーツを着用した女性のフィットネスポートレート。夕暮れの光に包まれた瞑想的な表情。

EMSの効果と筋トレの本質について、整体院の視点から解説します。近年人気の高まるEMS(電気刺激による筋肉トレーニング)ですが、その効果には限界があり、むしろシンプルな従来型の筋トレの方が費用対効果に優れています。本記事では、EMSの科学的根拠と、効果的な筋力トレーニングの基礎知識をお伝えします。

EMSの整体院としての見解

EMSは電気による刺激で筋肉の維持やトレーニング効果を高めるような器具を使った施術です。弊社はEMSを使用した施術は行っていませんが、特に整骨院接骨院が行っているので、弊社における見解を書いてみたいと思います。EMSで最近最も認知されている製品はシックスパッドという商品です。有名なアスリートを主に宣伝され、1時期はかなり多くのユーザーが利用されていたと思います。また、整骨院接骨院でも医療用としてEMSのサービスを月額サービスとして行っているところもあると聞きます。

では、EMSのサービスや自宅でのEMSのトレーニングによって筋肉が増えたと聞いたことがありますでしょうか?私の周りでは皆無ですし、私もずいぶん科学的な根拠などを調べた結果、あくまでも医療用に開発された維持に少し貢献する程度と感じています。もちろん寝たきりの患者さんや全くやらないよりはいいので、普及もしていると思いますが、なぜ大きい結果が出ないのかという生理学的な根拠も書いてみたいと思います。

シックスパッドを推薦していた京都大学名誉教授の森谷教授の書籍を多く読みました。その中で森谷教授が劇的な効果を期待するものではない!ポテンシャルを高める効果はある!とはっきり述べられています。理由は筋肉に対して電気刺激を行っても、筋肉は、脳から神経筋肉を介して運動として成立するので、筋肥大や関節の動きを良くしたりするということが起こり得ないということです。

それだけ考えても、スクワットや腕立て伏せのようなお金をかけないで、誰でもできる運動と比べると、わざわざ高額の機械やサービスを受ける必要がないと私は感じています。弊社にもEMSの営業が度々あり、このような理由からお断りをさせていただいた経緯があります。対象者によってはもちろんEMSを使う場合もあるかもしれませんが、少なくとも整体や整骨院、接骨院には寝たきりの人を見る機会がないと思うので、私はほとんど必要ないと思います。

劇的な筋肉をつけるメカニズム

最新型EMSスーツを着用するアジア人女性。オレンジ色に光るLEDラインが入った黒のボディスーツ姿。クールな表情でジムに立つ未来的なポートレート。

筋肉をつけたい!そのようなニーズは、アスリートやボディービルダーだけではなく、今や高齢者が長寿になってきており、NHKをはじめ、地上波でも筋トレ、筋トレと筋トレブームにさえなっています。一方で、運動が嫌いな層というのが一定数あります。むしろその方が全体的に多いので、そのようなEMSの器具が普及していくと思います。

ただ、筋肉をつけるには、そんなに難しいノウハウを知らなくても、基本さえ押さえていれば難しくありません。まず1番優先していただきたいのは、ももの前の大腿四頭筋だけは落とさないほうがいいということです。足の筋肉でも先に落ちていくのが、この前の大腿四頭筋ということが言われています。腿の後ろのハムストリングスよりも先に落ちていくので、そのギャップを埋めるためにも必ず必要になってくるのがこのトレーニングだと言えるでしょう。

もちろん負荷を上げていくことで、大きな結果が得られるわけですが、スクワットでもしっかりしゃがめば、筋肉は肥大しますし、それでも物足りなければ片足で行う、もしくはダンベルを持って行うなど、工夫すればジムに行かなくても自宅でできることがあるはずです。3000円程度のダンベル1つあれば、トレーニングは開始できます。

なぜこのようなシンプルに経済的かつ時短で効果があることを整体や接骨院整骨院に普及しないのかなとさえ思います。このような基本が行われていけば、中長期的に変形性膝関節症や腰痛をかなり予防することができます。実を言うとこの自重を使ったトレーニングというのが、効果が高いのにちゃんとした指導できるトレーナーが不足していると思います。

なぜなら、予防は利益になりづらいからです。私自身が常に予防を指導していますが、予防がしっかりされていくと、腰痛肩こりもかなり良くなっていきます。しかも、お金をかけずに効果を持続させることができるのがトレーニングの正しいメソッドです。筋肉を劇的に増やすためには、10 RMという10回何とかできる負荷でワンセット×5セットぐらいは行ってもらいたいと思っています。

ただ時間にしてはたったの10分。それだけでも1週間で60分のエクササイズになるので、健康維持にはかなり効果があると言えるでしょう。

EMSの科学的根拠と効果の実態

「痛くない筋トレ」「寝ながらできる」といった手軽さは評価されているものの、「劇的な効果は感じられない」「思ったほど筋肉がつかない」


EMSは電気刺激で筋肉を収縮させる医療機器として開発された技術です。リハビリテーションの現場では、寝たきりの患者さんの筋萎縮予防や、怪我で動かせない部位の筋肉維持に活用されてきました。しかし近年、トレーニング機器として一般向けに普及し始め、その効果をめぐってさまざまな議論が起きています

医学的な見地からみたEMSの限界
EMSの最大の問題は、脳からの神経伝達を伴わない筋収縮だという点です。京都大学名誉教授の森谷敏夫氏も「劇的な効果を期待するものではない」と明言しています。通常の運動では、脳からの指令が神経を通じて筋肉に伝わり、それによって筋収縮が起こります。この過程で、筋肉だけでなく神経系全体が発達し、それが本当の意味での筋力向上につながるのです。
一方、EMSは外部から電気刺激を与えて強制的に筋肉を収縮させるため、神経系の発達が望めません。その結果、見た目の筋肉量がわずかに増えたように感じても、実際の筋力向上や運動能力の改善にはつながりにくいのです。

費用対効果の観点から見る問題点
EMSの機器やサービスは決して安価ではありません。家庭用の機器でも数万円、サロンでの施術となると月額1万円以上かかることも珍しくありません。この費用をスポーツジムの会費や自宅用のトレーニング機器に投資した方が、はるかに効果的な筋力トレーニングが可能です。

実際のユーザーの声からみる効果
EMSを使用した人の声を聞いてみると、「痛くない筋トレ」「寝ながらできる」といった手軽さは評価されているものの、「劇的な効果は感じられない」「思ったほど筋肉がつかない」という意見が多く聞かれます。特に、本格的な筋力向上を目指す人からは、期待した効果が得られないという声が目立ちます。

EMSに依存するリスク
EMSに頼りすぎることで、本来必要な運動習慣が疎かになるリスクも指摘されています。「EMSをつければ運動しなくても大丈夫」という誤った認識は、かえって健康維持に悪影響を及ぼす可能性があります。真の健康づくりには、日常的な運動習慣の確立が不可欠なのです。

総括:EMSの適切な位置づけ
EMSは完全に無意味というわけではありません。リハビリテーションの補助や、全く運動ができない状況での筋萎縮予防には一定の効果があります。しかし、健康な人が筋力向上や体型維持を目指すのであれば、通常の運動の方がはるかに効果的です。EMSはあくまでも補助的な手段として位置づけ、基本的な運動習慣の確立を優先すべきでしょう。

これらの事実を踏まえると、高額なEMS機器やサービスへの投資を検討するよりも、自重トレーニングやダンベルトレーニングなど、より基本的な運動方法を習得する方が、長期的な健康維持や筋力向上には効果的だと言えます。

EMSの効果性に関する科学的考察:整体施術者の視点から

EMSウェア姿のアスリート女性。青く光るワイヤレスイヤホンを付け、瞑想するように静かに座っている。バックライトが温かな光を放つスタジオにて。

EMSの効果について科学的根拠と実践的観点から検証していきます。EMSは電気刺激により筋肉を収縮させる医療機器として開発され、近年では一般向けのトレーニング機器としても普及していますが、その効果については慎重な検討が必要です。

神経生理学的な観点からの検証
EMSの作用機序を神経生理学的に分析すると、最も重要な問題点として、脳からの神経伝達を伴わない筋収縮という特徴が挙げられます。京都大学名誉教授の森谷敏夫氏の研究によれば、筋力向上には神経系統の発達が不可欠です。通常の運動では、脳からの運動指令が神経を介して筋肉に伝達され、これにより筋収縮が生じます。この過程で神経筋接合部の発達や運動単位の動員能力の向上が起こり、それが実質的な筋力増強につながります。

筋肥大メカニズムとの関連性
筋肥大のメカニズムは、適切な負荷による筋線維の微細損傷と、それに続く修復過程で生じる筋タンパク質の合成促進に基づいています。EMSによる電気刺激は、確かに筋収縮を引き起こしますが、生理的な負荷とは質的に異なる刺激を与えるため、効果的な筋肥大を促進するには限界があります。

臨床的エビデンス
医療分野においては、EMSは特定の状況下で有効性が認められています。具体的には:
寝たきり患者の筋萎縮予防
術後のリハビリテーション補助
特定の神経筋疾患の治療補助
しかし、健常者の筋力トレーニングツールとしては、従来型の運動と比較して明確な優位性は示されていません。

費用対効果分析
経済的観点からの分析も重要です。EMSの導入コストは家庭用機器でも数万円、専門施設での利用では月額1万円以上必要となります。一方、基本的な筋力トレーニング用具(ダンベルなど)は3000円程度で購入可能で、より多様な運動プログラムを実施できます。
結論:科学的根拠に基づく推奨事項

現在の科学的知見を総合すると、EMSは特定の医療目的には有用ですが、一般的な筋力トレーニング手段としては、従来型の運動方法に優位性があると結論付けられます。特に、以下の点が重要です:
神経系の発達を含む総合的な筋力向上には、従来型の運動が不可欠
費用対効果の観点から、基本的なトレーニング機器の方が優位
持続的な健康維持には、能動的な運動習慣の確立が重要

これらの知見に基づき、一般的な健康増進や筋力向上を目指す場合は、EMSへの過度な期待を避け、科学的に実証された従来型のトレーニング方法を主体とすることが推奨されます。

有限会社ディーエスシーエス 代表取締役根本大

ねもと整体&ストレッチスタジオ院長根本大。
・米国NSCA‐CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
・健康運動指導士